人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

続躁鬱、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)こういう突拍子もない勧誘メールもある、ということで記事にしました。本当にあの手この手という表現がぴったりですね。 (2)ぼくの場合は、躁が重い時も鬱が重い時もほとんど眠れません。疲れている時電車で眠り込んでしまうような、…

(20a)アルバート・アイラー(ts)

Albert Ayler(1936-1970,tenor sax)。もうこの人は大傑作「スピリチュアル・ユニティ」1964(画像2)に尽きる。ジャズの常識、音楽の常識どころかおよそ人間の作り出したものとは思えないサウンドに言葉を失う。一体サックスからこんな音が出るものだろうか?…

入院顛末記〈1〉

5年間で通算5回・合計10か月入院したが、昨年8月は盲腸炎なので精神入院は4回、うち1回は一時的な酒びたりで行かされたアルコール依存症学習入院だった。結局、予備軍のさらに手前だと判った。依存症になると常に酩酊しないではおれず、朝から晩まで途切れず…

(19)オーネット・コールマン(as)

Ornette Coleman(alto sax,trumpet,violin)。セシル・テイラー(ピアノ)と共にフリー・ジャズの創始者とされる人だが、マイルス没後は革新性を保った大御所の筆頭になってしまった。レパートリーは全曲オリジナルで、モダン・ジャズではモンク、ミンガスに匹…

山東京伝「桜姫全伝曙草子」1805

ぼくが小説を読むのは、フローベールの「ボヴァリー夫人」1857で早くも田舎の開業医との結婚生活に倦怠を覚えた若妻が、食事の席で「エマ(若妻)はシャルル(夫)が舌で上唇の内側をまさぐるのを見て嫌悪感に堪えなかった」というような電撃的一行のためで、人…

(18c)エリック・ドルフィー(as)

ドルフィーは年間10枚以上の録音に参加しても生活はやっと、だが作品は素晴しかったことは前2回でも書いた。それでも晩年にはダンサーの婚約者がいて、ドルフィーの伝記ヴィデオで取材を受けていたが、還暦近いのにバレエ教室を開いて若々しく、独身のままド…

再び躁鬱、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)1型の躁は2型より長いし強烈なんですよ。躁が続いている間は記憶障害や幻覚や妄想までいきます。で、躁が治まると重い鬱になって、躁の間は食事も睡眠もしないから鬱と共に肉体的衰弱もひどくなり、最後は救急車のお世話になるわけで…

(18b)エリック・ドルフィー(as)

ドルフィーは生涯2週間しか自分のバンドを持たなかったから(61年7月のドルフィー=リトル・クインテット)、生前に正規録音された自己名義のアルバムは12枚(それすら半数は死後発表)、発掘録音が30枚、サイドマン参加作が50枚になる。6年間でこれだけレコーデ…

通院日記(11月27日火曜・晴れ)

もしも神すらも助けてくれなくても、という仮定には矛盾がある。否応なしに運命を握る存在が神の定義ならば「救い」には「見殺し」だって含まれるのは当然のことだ。と「フランツ・カフカ小品集」(本ブログ9月28日~10月25日)の編者としては火の気もない部屋…

(18a)エリック・ドルフィー(as)

Eric Dolphy(1928-1964,alto sax,bass clarinet,flute)。欧米より日本で生前から人気が高かったジャズマンがドルフィーで、遅いニュー・ヨーク進出(1960年・32歳)から早すぎる死(1964年・36歳・糖尿病)までドルフィーをメンバーに起用し、音楽的な親交を保ち…

通院日記(11月26日月曜・雨)

内科の受診前に体重計に乗る。少し痩せた。72.2Kg。2週間で3kg減。S先生(船越英一郎似、と歯科衛生士さんは言う)は「中性脂肪がなかなか下らないねー。カロリー控えめにしなきゃねえ」 「それほど食べてもいないんですが」 「2年前は佐伯さん56Kgだったよ。…

(17e)ジョン・コルトレーン(ts)

コルトレーン最終回。たぶん全5回というのはこの連載でもこの人だけ。ロックへの影響でも、前時代のロックがブルース・ロック、サイケデリック・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、ジャズ・ロックに発展する手本はこの人の音楽だった。コルト…

自己破産、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)おひさしぶりです。ほぼ一年前にいただいたリクェストにお答えしていませんでしたね。女流作家、中でも林真理子さんや山田詠美さんはエリートとして遇されている、というのが所見で、日本文化には女性エリート(巫女)を求める素地か太…

(17d)ジョン・コルトレーン(ts)

1964年4月と6月に傑作「クレッセント」を録音したコルトレーン・カルテットは、同年12月の2日間で伝説的アルバム「至上の愛」(画像1)を録音する。今回も全4曲オリジナルだがモノクロの沈鬱なジャケット(インパルスでは企画、タイトル、ジャケットはコルトレ…

成瀬巳喜男の初期作品(1931・41)

筆者はYouTubeでPublic Domain(公共著作権、おおよそ制作から50年経過が目安)の映画を見るのが趣味だが、昔はミニシアターの自主上映会でもお目にかからなかった映画がてんこ盛りなのには喜びを通り越して唖然とする。見たい映画もたいして見たくない映画も…

(17c)ジョン・コルトレーン(ts)

コルトレーンのインパルス移籍は1961年で、契約消化のためにセクステットによるアルバム「オーレ!」を移籍第一作「アフリカ・ブラス」より後にアトランティックに置き土産にしている。どちらも注目されるのはオーネットから少し遅れてロサンジェルスからや…

ヱヴァンゲリオンその他エッセイ

○コメントと断片より (1)前作「破」から以前のテレビ版と離れた展開になってきましたからね。「Q」ではほぼ完全にオリジナル・ストーリーになるんじゃないかと思います。本来、四部作を年1本のペースで公開する予定だったのが遅れたのはそのせいでしょう。…

(17b)ジョン・コルトレーン(ts)

前回の3枚はプレスティッジ専属時代の名作で、リハーサルなしの3時間のセッション2回でアルバム3枚分を要求されたプレスティッジはスタンダード集になるが、さすがにデビュー作「コルトレーン」1957はリハーサルがあり(ただし自腹)、ちゃんとリハーサルにも…

10代の頃買った本・ミステリ編

押し入れから60冊ほどまとめて出てきた。列挙する。 【第一次黄金時代】探偵小説の世紀(アンソロジー)・思考機械の事件簿(J.フットレル)・ブラウン神父の秘密(G.K.チェスタトン)・ブラウン神父の不信(同)・ブラウン神父の醜聞(同)・アンクル・アブナーの叡知…

(17a)ジョン・コルトレーン(ts)

John Coltrane(1926-1967,tenor & soprano sax)。この人は遅咲きの大器晩成として知られ、初の自己名義のアルバムは30歳の時だった(「コルトレーン」1957・画像1)。ディジー・ガレスピーのバンドでデビューし、セロニアス・モンクのバンドで薫陶を受け、55年…

「Taxman」その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)'Taxman'はかっこいい曲ですね。高校生の頃、当時人気バンドだったザ・ジャムの'Start!'という新曲がまるっきり「タックスマン」の換骨奪胎だったのを覚えています。タイトルや歌詞は税務所員への皮肉ですが(同年のキンクスのNo.1ヒ…

(16)ギル・エヴァンス(arr,p)

Gil Evance(1912-1988,arrenge,piano)。ジャズ界にはビル・エヴァンス(Evans)というピアノの巨匠もいて紛らわしいが、ギルはピアニスト以前に編曲者として大きな功績を残した人だった。懐の広い人で金や名誉にも執着なく、ギルがプランを立てると優秀なジャ…

通院日記(11 月20日火曜・晴れ)

昨日も通院日記だったじゃないかと言われればその通りで、ただし今日は歯科への通院だ。階段を降りると、向いのアパートのお婆さんが猫マンマの餌皿を出していたところだった。おはようございます、と会釈して通りすぎようとすると、「おはよう?それともこ…

(15)レニー・トリスターノ(p)

Lennie Tristano(1919-1978,piano)。トリスターノがモダン・ジャズの巨人25選に入選した理由は「生涯反商業主義を貫き、トリスターノ・スクール(楽派)というジャンルを打ち立てた」というもので、解説抜きでこれを理解せよというのは無理だろう。 まずこの人…

通院日記(11月19日月曜・晴れ)

予約時刻は朝10時、受付に着いたのが10時半。いま10時50分… と、いつも通りの診察が終った。いろいろやりくりで苦労して「しくじったなあ」と気落ちしましたが、なんとか落ちついて過ごしています。最近寝坊して予約時刻遅刻が多いので気をつけます。日曜晩…

(14)アート・ペッパー(as)

Art Pepper(1925-1982,as)。ウェスト・コースト・ジャズを象徴するジャズマン。リー・コニッツ、ポール・デズモンドと並ぶ三大白人アルト・サックス奏者のひとり。ウェスト・コーストがイメージする自由、陽光、青春、メランコリアをチェット・ベイカー(トラ…

ビーチ・ボーイズその他エッセイ

○コメントと断片より (1)当時のレコード発売は、ビーチ・ボーイズやビートルズ、ストーンズといったところを見ると初春(2月)、初夏(6月)、クリスマス前(11月)が標準的ですね。ビートルズやストーンズは作詞作曲できるメンバーが二人いるけど、ビーチ・ボーイ…

(13)スタン・ゲッツ(ts)

Stan Getz(1927-1992,tenor sax)。白人テナーの天才。その一言に尽きる。16歳で名門ビッグ・バンドに入団したちまち花形テナーとして引っ張りだこになり、1949年には自分のカルテットで独立し、サヴォイ~ルースト~プレスティッジなどのインディーズに決定…

ネタバレ・ヱヴァンゲリオン: Q

11月17日公開の新作「ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q」は、公開初日Yahoo映画レヴューで22時現在投稿数210件を数える。平均3.1★★★。ただし公開前から予想(期待)で5つ星レヴューの投稿も20通近く、実際の平均値は3つ星を割ると推定される。 いくつかのレヴュー…

(12c)チャールズ・ミンガス(b)

さてミンガスのアルバムは、作風を確立した1954年から逝去する1979年までの25年間でざっと50枚はある(正規録音のみ)。ミンガスより早熟で長命だったマイルスは正規録音では95枚ほどだから、録音数はほぼ同格になる。 マイルスが前後編なのは順当として、パー…