人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

(3)フランツ・カフカ小品集

初回のおさらい。フランツ・カフカ(1883-1924)はプラハ生れのユダヤ系ドイツ語作家。生涯を小役人として送り、生前には僅かな短編小説を自費出版しただけだった。二度同じ女性と婚約し二度とも破棄。生涯家庭を築かなかった。没後焼却として文学仲間に託した…

Weekend 'Nostalgia' -1982

中学・高校時代から二十歳前後に新作として接した音楽を聴き返すのはあまりに生々しくてつらい。当時既に歴史的作品になっていたものは距離を置いて聴けるのだが、評価未決定のまったくの同時代作品として聴いたものには未だに冷静になれない。特にイギリス…

(2)フランツ・カフカ小品集

今回はカフカの小品でも白眉の一篇をご紹介する。 * 『家長の心配』 オドラデク、という言葉の語源はスラヴ語と主張する一派とドイツ語と主張する一派に分かれる。おそらくどちらでもないのだろう。どちらもあてにならない上に、言葉の意味は不明なままなの…

エッセイ、主に音楽関係

○コメントと断片より (1)これはギャング・オブ・フォー自身のオフィシャル投稿なんですね。ドラマーとベースは何代目か知らないけど、初期のサウンドを再現してまだまだ行ける感じがして嬉しくなります。大型フェスより単独でクラブ来日してほしいバンドです…

(1)フランツ・カフカ小品集(再録)

フランツ・カフカ(1883-1924)はプラハ生まれのユダヤ系作家。市役所職員の傍ら同人誌に小説・エッセイを発表。生涯独身で過ごし、生前の著作は中篇小説「変身」「火夫」、小品集「観察」のみ。没後膨大な遺稿が発見され未完の三大長篇小説「アメリカ(失踪者)…

日記(9月27日木曜日・曇り)

ぼくが結婚前に住んだアパートは2軒だが、他に3軒のアパートを繰り返し夢で見るのでまるで実際の記憶と混同してしまいそうになっている。また、結婚後に住んだマンションは3軒だが、もう1軒に住んだ夢が繰り返しあって、記憶の中では現実と等しい実在感を持…

(補6)はざまのはっぴいえんど

細野晴臣(vo,b,p,org)・大滝詠一(vo,g)・鈴木茂(g,vo)・松本隆(ds,lyrics)。ジャックスが無自覚に多彩な音楽要素を融合させ独自の音楽を作り出したバンドだったのとは対称的に(早川はメンバーに一切の音楽的影響を禁じた)、このバンドは細野の遠大な計画から…

(3)PiL.'Commercial Zone'-1984

'Commercial Zone'初回曲目(曲順)は次の通り。()内は再録音アルバムでの改題。 [Side A] : 1.Mad Max(Bad Life)/2.Love Song(This Is Not A Love Song)/3.Bad Night/4.Solitaire [Side B] : 5.The Slab(The Order Of Death)/6.Lou Reed Part1/7.Lou Reed Par…

(補5)海の底のジャックス

完結編で述べた通り真にGS=日本の60年代ロックに取って代わったのはアングラ・フォークの台頭で、それを予告したのは先駆者・高石友也よりもフォーク・クルセダーズとジャックスという対照的なグループだった。 デビュー・アルバムのレヴュー(ミュージック…

(2)PiL. 'Commercial Zone' - 1984

セックス・ピストルズの解散後ジョニー・ロットンが始めたバンド、パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd.以下PiLと略)の1984年の新作「コマーシャル・ゾーン」(画像1)は今やバンドの未公認アルバムとして海賊盤か、再録音盤(画像2)か、または…

(補4)Flower Travellin' Band

これが日本ニューロックの精華、フラワー・トラベリン・バンドの全アルバムになる。上から、 ○「ANYWAY」1970.10(画像1) ○「SATORI」1971.4(画像2) ○「MADE IN JAPAN」1972.2(画像3) ○「MAKE UP」1973.2(画像4) ○「WE ARE HERE」2008.9(画像5) * で、再結成…

(1)PiL.'Commercial Zone'-1984

パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd.以下PiLと略)の1984年の新作「コマーシャル・ゾーン」は出てすぐ渋谷のタワーレコードがまだ宇田川町にある頃に買った。たぶんパンタかP-Modelのライヴの前後で(パンタはライヴ・イン、P-Modelは屋根裏で…

(補3)日本のジミー・ペイジ成毛滋

タイヤ製造会社ブリジストンの創業者が「日本のジミー・ペイジ」成毛滋(1947-2007)の祖父にあたる。親戚友人には財界人・政界人がひしめく。鳩山兄弟も成毛滋の従兄弟になる。60年代の前半、まだ一般人の海外渡航が容易ではない時代から成毛の周辺では渡米・…

続々(自粛または巨人優勝の夜に)

今まで一言も触れなかったが、実は筆者から野球を取ったら何も残らない-わけはないので、不健全な社会人時代は飲み屋でこの手の「空気読まない」発言で野球、サッカー、プロレス、相撲好きの人たちを怒らせて嫌われたものだ。もちろんオリンピックも大運動…

(補2)元GSによるニュー・ロック

タイトルの「ニュー・ロック」には説明が必要だろう。いわゆるGS終焉以降の新しいロックを指す呼称のひとつで、アート・ロック、サイケデリック、ブルース・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロックなどをひとまとめにして「ポストGS(GS以後)」のロ…

続(タイトル自粛・前回参照)

タイトルだけで前回は反発を買ったと思うので今回は「続」をつけて自粛してみた。すると多少は十分な考察を経た文明論的エッセイを約束する雰囲気が漂うではないか。 だがミック・ジャガーも「約束なんてあてになりはしないだろ?」(ローリング・ストーンズ…

(補1)GS末期~ニューロックまで

68年のソウル・ブームに替わって69年にはブルース・ロックが最先端の音楽だとみなされた。これらはGSとは人脈程度のつながりしかなかった。掲載アルバムは、 ○「ブルースの新星 パワーハウス登場」1969.4(画像1) ○ザ・ヘルプフル・ソウル「ソウルの追求」196…

軽薄尻軽馬鹿女が世界を廻す

責任転嫁のために前置きすれば、これは筆者の私見ではない。英ロック・バンド、クイーンの「ファット・ボトムド・ガールズ」という曲の一節による(アルバム「ジャズ」1978)。 もちろん軽薄尻軽馬鹿男というのも確かに存在する。が、こちらは金の切れ目が縁の…

(完)アングラ・フォークの台頭

まずフォーク・クルセダーズが注目され、フォークがそれまでのカレッジ・フォークからよりラディカルに変質を遂げていることを知らしめた。それは商業化したGSよりもロックの本質に基づいていた。先駆者として高石友也が登場した。もはや高校生以上の年代はG…

エコー&ザ・バニーメン

えーと、まずかったら削除すればいいや。放送用オフィシャルCDと名銘って、スリーヴによるとアズテック・カメラからストーン・ローゼズ、プライマル、キュア、ポール・ウェラー、レディオヘッド、ジャミロクワイまでライヴ音源を出している3D-Realityという…

(21)喜多島修=ザ・ランチャーズ

このバンドの位置づけには悩んだ。「レコードコレクターズ」のGS特集ではベスト30グループのうちベスト5に次ぐベスト15グループに選出されており、ザ・ランチャーズ以外の19グループはご紹介した。その上、下位10グループから3組と選外から2組(リンド&ザ・…

レネ「去年マリエンバートで」

この庭園の人々の長ーい影は(画像2)地面に描いたものだという。もし劇場でまた見る機会があればよく注意してみよう。この映画は80年代になってもフェリーニの「82/1」、ルイ・マル「鬼火」、トリュフォーの「大人は判ってくれない」「突然炎のごとく」、ゴダ…

(20)アイ高野=ザ・カーナビーツ

ザ・カーナビーツのリーダー、アイ高野(ヴォーカル、ドラムス)は06年4月に逝去した。享年55歳。葬儀にはGSのOBが勢揃いした。カーナビーツとゴールデン・カップスのメンバー、加橋かつみ(タイガース)、真木ひでと(オックス)…ここから先は点鬼簿になるが、鈴…

CDラジカセその後、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)マンフレッド・マンはポール・ジョーンズがヴォーカルのEMI時代がチャプター1、フォンタナに移籍してマイク・ダボがヴォーカルの時代がチャプター2、ヴァーティゴに移籍してジャズ・ロックやってた時期がチャプター3、アース・バンド…

(19)1968年のR&Bブーム

いやあ探した探した96年発売のズー・ニー・ヴーのCD。一応CDはジャンル別に分けているつもりだが滅多に聴かない盤となるとすぐには見つからない。画像はネット通販からもってきたがプレミア価格7800円!ぼくは定価1800円を割り引きセールとポイント割り引き…

ラジカセ、あっけなく治る

昨日の朝に一枚のCDを飲み込んだままトレイも引き出せず解体もできず、一応入りっぱなしのCDはそのまま聴ける(ヴァレンシュテイン「コズミック・センチュリー」1973)のだが、延々同じアルバムをリピートではたまらない。ポータブルDVDプレイヤーで別のCDも聴…

(18)70年代ロックを導いたGS( 後)

続き。前回は「この3組のバンドからの選抜メンバーがフラワー・トラヴェリン・バンド(正確にはタックスマンのメンバーも入るから4組)」まで。内田祐也(まだ30代初め)は当時、私財を投じて若手バンドのパトロンになり、頭脳警察を筆頭に楽器や機材を買っても…

ラジカセ壊れる、その他エッセイ

○コメントと断片より (1)ついに5年間使っていたCDラジカセが壊れてしまいました。これは2007年9月に拘置所から釈放されてきた時、実家から食器や古着と一緒にもらったものです。離婚した妻からCDや蔵書を送ってもらうあてはなかったので、転居手続きの合間に…

(17)70年代ロックを導いたGS(前)

タイトルはでかく出たが、1000文字で全部は網羅できない。GS出身の70年代~現役(故人も多いが)は80年代までは日本のポップス界の重鎮だった。どの頃まで、というと小室哲哉あたりがのしてくるまでだ。そこでフォー・ナイン・エース(491)、ザ・ビーバーズ、内…

削除された男

ビーチ・ボーイズのメンバーをひとりも言えなくてもローリング・ストーンズなら少なくともミック・ジャガーというセレブがいる。人気絶頂期のマイケル・ジャクソンとデュオで大ヒットも出したのだ(「ステイト・オブ・ショック」。もっともマイケルはポール・…