人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

フランク・ザッパ&ザ・マザーズ

フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション(Frank Zappa & The Mothers Of Invention)の初期3作のアルバムは、同時代ではビートルズをしのぐ影響力があったと推測される。「サージェント・ペパーズ」1967以降のビートルズがなくとも欧米ロック…

再びカフカ、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)カフカはフロイトの同時代人で、ニーチェ没後の文芸思潮にいた人です。当時の作家たちは、直接的な影響はともかく、人間観察は今よりずっと苛酷な視点をもっていました。カフカの没後にはファシズムの時代が来ます。それほど文化の退…

LP時代のアルバム曲数について

「アルバム1枚で28分なんて短すぎませんか?ミニアルバムならともかく、普通のアルバムでそんなに短いと買う側も損をしたような気がするんじゃありませんか?」とのお尋ねですが、もっともなご意見です。確かにビーチ・ボーイズやキンクスの60年代のアルバム…

通院日記(10月29日・月曜)

昨夜はブログ記事の連載を思い立ち資料集めで本棚やCDラックをひっくり返し最初の2回分を書いたので、就寝は午前4時になった。月曜午前は精神科(毎週)と内科(隔週)、眼科(第一週)があるのだ。 午前4時はいつもなら熟睡のあと短い早朝覚醒があり、トイレに立…

ハッピー・ハロウィーン?

筆者がハロウィーンを知ったのは中学生の時に読んだアガサ・クリスティの探偵小説(こう呼ぶ方がしっくりくる)「ハロウィーン・パーティ」1967で、著者は1890年生れだから77歳の作品だが相変わらず見事な佳作だった。 設定はイギリス作家らしい皮肉なもので、…

主に音楽、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)ピチカートVの「カップルズ」と「ベリッシマ」は良かったですね。次のアルバムからはCD発売のみだったので聴けませんでした(92年頃までCDプレイヤー持っていなかった)。でもこの2枚で満足です。できればこの路線であと1、2枚聴きた…

10月第4週に見た映画

この他に「20世紀少年・第三章」を見たが(26・金)この三部作はまた改めて。以下、どれもテレビ放映視聴による感想。日曜から金曜まで毎日一本見ている。映画視聴は精神疾患の作業療法プログラムでもある。 ●21(日)ワイルド・スピードMAX(米09)-これは5作作…

70年代ハート、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)ハートといえば「マジック・マン」(次点は「ハートレス」か?)、というくらいオン・タイム派には印象強いです。今聴くと結構渋い楽曲なので感心しました。シンプルながらソリッドでいいですね。「ドリームボート・アニー」から「ベベ…

本日のウィキペディア

ご多分に洩れず筆者も日頃ウィキペディアにはお世話になっている。英語版など凄いもので、ロックのアルバム一枚にあらゆる資料を引用して膨大な解説があるなど、日本ではまだまだだな、と思わせられる。日本版ウィキは、例えば現代詩など堀川正美は項目すら…

下書きと推敲、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)「フランツ・カフカ小品集」は全28回・全43篇を書き上げました。ちょっとした薄い本になるくらいの分量。ブログ記事の文字数でおさまるカフカ作品はこれで全部です。 (2)よくわかったね。限度いっぱいに載せる工夫もさることながら、…

鈴木清順「殺しの烙印」日活'67

日活1967年・B/Wワイド91分。監督を中心とした8人の集団制作(具流八郎名義の)オリジナル脚本。主演=宍戸錠、真理アンヌ、小川万里子。鈴木清順監督の36作目にして経営陣の怒りを買い解雇されるばかりか過去の作品のレンタル禁止措置まで招いた問題作。社会…

自作解説について、その他

○コメントと断片より (1)あえて「作品」という言葉を使えば、それは仕上げとともに作者の手から離れたもの、という考え方もあります。その場合自作解説もまた独立した批評です。独立した批評なら対象が自作であることに容赦ないでしょう。読みづらさを感じた…

(28・終)フランツ・カフカ小品集

1912年、カフカ29歳の年に執筆され、1915年にライプツィヒの出版社から刊行された『変身』はカフカの生前発表作ではもっとも長く(翻訳文庫版で90ページ)、没後発表の三大長編「アメリカ」「審判」「城」に較べても格段のポピュラリティを持つ。冒頭2ページを…

革ジャン買いました

新しく革のジャンパー(本当はポリエステル。画像下)を買った。古着屋で600円。一枚生地だけの薄っぺらなジャンパーだが気密性はいいので、厚手のセーターを着てマフラーと手袋もすれば短時間の外出ならしのげるだろう。しのげるだろうか? 先の冬、もう20年…

(27)フランツ・カフカ小品集

こうした疎外感はカフカが初めて文学に定着したんだな、としみじみする。純度が高いのだ。 * 『山へ行く』 「私には解らない」と私は声なき声で叫んだ。「本当に解らないんだ。誰も来ないなら、それは誰も来ないということだ。私は誰にも悪いことをしたこと…

(秋の夕暮れ) の話

同時(妻や娘たちは今も)が住んでいたマンションは保育園と小学校の中間にあった。朝は小学校は集団登校だが帰りはバラバラになる。ぼくは健康の問題で小学生の長女を放課後の学童保育にやっていた。長女ではなく、ぼくの健康だ。次女はまだ保育園児なので、…

(26)フランツ・カフカ小品集

馬が弁護士会に入会してくる。しかもアレクサンダー王の愛馬で、戦争も終結したので軍馬から転職してきて、容貌も人間と変らなくなっている。この天才的な設定を発想して、さて物語はどうなるか?とくと味わわれたい。 * 『新弁護士』 我々のところに新しい…

サバービア、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)今回の記事も面白かった。好きなものを、好きな人が書くというのはいいですね。 ところでお答えいただいた回答、手際よく明快な定義ですね。さすが理系。すべてぼくが学生時代から結婚生活までを送った登戸にも、登戸からさらに倍の…

(25)フランツ・カフカ小品集

東欧というとスラヴ的な感性も入ってくるわけで、これはカフカにしてはペーソス漂う、小品作家時代のチェーホフを思わせる一篇。カフカの影響源にチェーホフが上げられることはあまりないが、カフカの青年時代に名声の絶頂で病没した国際的作家を読んでいな…

若松孝二「胎児が密猟する時」'66

先日、10月17日に若松孝二監督(1936年宮城県生れ・享年77歳)が事故死し、日本映画にまたひとつ大きな穴が空いた感じがする。日活ロマンポルノの巨匠・神代辰巳、ATG映画末期の大器・相米慎二らも既に亡く、80年代映画のダークホース・伊丹十三も不審死し、大…

(24)フランツ・カフカ小品集

これもカフカらしいシニカルな世界観をうかがわせる二篇。 * 『帰路』 雷雨の後の大気が持つ、素晴らしい説得力!私の数々の功績が目の前に現れ、これに抵抗しなければ、私は押し潰されてしまう。 私は行進する。私のテンポはこの横町沿いの建物の、この横町…

10月第三週に見た映画

みんなテレビ放映かYouTubeだが、この週も結構見た。この他にも「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「同:破」「東京流れ者」「殺しの烙印」「20世紀少年2」(先週に続き)も見たが、それは改めてご紹介しよう。 10/14●マジカル・ミステリー・ツアー(英67)-三夜連…

(23)フランツ・カフカ小品集

これはカフカの少年的女性嫌悪が露にテーマとなった二篇。少年にとって女性の化粧や衣裳ほど馬鹿らしく見えることはないからだ。そのまま大人になると化粧っ気のない、質素ないでたちの女性以外はビッチと見なすようになり、そういう女性の見本は自分の母親…

鈴木清順「東京流れ者」日活'66

日活1966年・カラー/ワイド83分。原作=川内康範。主演=渡哲也、二谷英明、松原智恵子。監督の鈴木清順は1923年生れ、敗戦後除隊し日活に入社。「港の乾杯 勝利をわが手に」1956を監督デビュー作に、問題作「殺しの烙印」1967で日活を解雇されるまで足掛け1…

(22)フランツ・カフカ小品集

「観察」自体がテーマの二篇。 * 『通り過ぎる人々』 夜遅く、狭い小路を散歩していると、一人の男がこちらに歩いてくる。この時私たちは男が弱々しい体格で着るものもぼろぼろなのにもかかわらず、また男の後から誰かが大声で喚きながら追ってくるにもかか…

ジャックス、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやカン、ドアーズ(その子孫のテレヴィジョンやジョイ・ディヴィジョン)に匹敵する唯一の日本のバンドでしょう。しかも洋楽からの影響はビートルズしかない、という人たちです。本来前記のバンドら…

(21)フランツ・カフカ小品集

強いて言えばユダヤ教的発想が共通する二篇。やや投げやりな仕上げ。 * 『夜』 夜に浸る。物思いに浸るように夜に浸りきる。誰もかも眠っている。人が夜になると眠るのはつまらぬ芝居、罪のない自己欺瞞だ。がっちりした屋根の下、がっちりしたベッドの中-…

はっぴいえんど(1970-1973)

はっぴいえんどの歌詞をご紹介したい。前二篇はファースト・アルバム(1970)、後二篇は第二作「風街ろまん」1971から選んだ。 * 『春よ来い』 お正月と云えば 炬燵を囲んで お雑煮を食べながら 歌留多をしていたものです 今年は一人ぼっちで 年を迎えたんです…

(20)フランツ・カフカ小品集

これはカフカにしては珍しくアナーキズムの問題を正面から扱ったもの。非常に理詰めに展開する。ファシズム台頭の予見でもある。 * 『法律の問題』 この国の法律は誰もが知ってはいない。それは我々を支配する少数の貴族の秘密で、それらが確実に守られてい…

ニルヴァーナ、その他のエッセイ

○コメントと断片より (1)いい機会なので関連動画を一通り見ました。ニルヴァーナはあまり興味がないバンドだったのですが、やっぱり伝説になっただけはあるんだな、と認識を改めました。 (2)やっぱり。ゴッホやヘミングウェイ、佐伯祐三と辻潤(このふたりは…