2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧
(連作「ファミリー・アフェア」その6) 妻は熱心に本のページをめくっていたが、 「あかね、ってどうかしら。さえきあかね。きれいな名前でしょ?」 画数を調べると「茜」の一字では不足なことが判った。あと何画、と索引を引き「音」の一字を見つけた。茜音…
Julian Cannonball Adderley(1928-1975,alto sax)。マイルスがキャノンボールのスタイルを買ったのは、もちろん総合的な実力にあるが、黒人アルト奏者としてのブルース基盤のソウル・スタイルを白人奏者に近い明快なスウィング感に融合させたところだろう。…
(連作「ファミリー・アフェア」その5) 長女は話術が巧みだった。その日の出来事を重要事項順に並べ、ひとつひとつの話題について要約、概要、解説、総括することが自然にできた。妻は床に就くと数分で熟睡する女性だったので長女との寝物語はぼくの役目だっ…
Julian Cannonball Adderley(1928-1975,alto sax)。前回取り上げたエマーシーの第5リーダー作「ソフィスティケイテッド・スウィング」57.2はパーカーから出発した他のアルト奏者たち-ソニー・スティット、ソニー・クリス、ジャッキー・マクリーン、ルー・ド…
昨日は「ハッピープリキュア!」の最終回だったのに見逃してしまった。MXテレビの放映を待つしかない。「プリキュア」は長女が保育園の年長組の年に最初のシリーズが始まったから、見ていると幼い娘を膝に乗せ、娘の目を通して見ているような気になる。今回…
Julian Cannonball Adderley(1928-1975,alto sax)。この連載は「決定盤モダン・ジャズ名盤500」1993(音楽之友社)の「モダン・ジャズの巨人25」に基づいて前回までに90回に(!)及んだのだが、まだまだ大物ジャズマンがいて、大物すぎて後回しになってしまった…
(1)(36a)~(36c)もよければご覧ください。ジョニー・グリフィンはどうしても取り上げたい人だったので、アメリカ時代までに区切って紹介しました(ヨーロッパ時代と、アメリカへのカムバック以降は代表作も絞りにくく、手に入りづらいので)。グリフィンは十分…
今回がホレス・パーラン(Horace Parlan,1931-,piano)の最終回になる。ブルー・ノートとの契約が63年に終了した後パーランはコペンハーゲンに移住し、クラブ出演は続けていたらしいが、カムバック・アルバムは74年の「アライヴァル」だった。センスと腕前に衰…
(1)a...さんは勤めていらっしゃるので、ぼくのような療養専念の人間には頭が上がりません。ぼくは昨年春頃からは落ちついて、半年後あたりにはバイトや教会の礼拝出席でも…と主治医や訪問看護士に励まされていますが、三か月ごとに「まだ早そうだね。急がな…
パーランは59年10月~63年2月までにブルー・ノートにリーダー作7枚、参加作7枚を録音している。今回は参加作を紹介したいが、リーダー作との関係を見るためにもリストにした方が早い。*がサイドマン作品になる。この間別レーベルのブッカー・アーヴィン作品…
(連作「ファミリー・アフェア」その4) 「ところであんた、こんなところにいるような人じゃない。何があったんだ?」 訊かれてぼくも簡潔に答えた。隣の房長はヤクザ映画の台詞のように、 「なんだそりゃ?女なんかシャブ漬けにしてセックスしまくればいいん…
ホレス・パーラン(Horace Parlan)のブルー・ノート・レーベル契約第一弾は59.11のルー・ドナルドソン「ザ・タイム・イズ」だったが、レーベルは早くもパーランのリーダー起用を決定し、ジーン・ハリス(ピアノ)の「ザ・スリー・サウンズ」に続くレギュラー・…
(連作「ファミリー・アフェア」その3) 留置場の40日間、さらに拘置所の40日間、裁判から釈放までの事情はありふれたものだった。結婚生活の末期にはぼくは精神疾患に陥っていた。パニック発作、ストレス性の胃腸炎、歯ぎしりによる全歯の摩滅、娘たちの看病…
ホレス・パーラン(Horace Parlan,1931-,piao)までジャズの巨人扱いしていいものかと思うが、今も現役の長老ピアニストで、盟友ブッカー・アーヴィンの倍の長寿になる。同世代の仲間がほとんど鬼籍に入ったジャズマンの老境を思うと切ないものがある。 パーラ…
(連作「ファミリー・アフェア」その2) 次女は姉とパパの親愛感にも嫉妬を抱いていたが、ママの観察通り一にお姉ちゃん、二にママ、三にパパだったので、姉とはとても仲のよい姉妹だった。性格は対照的だったがそれがかえって良かったのだろう。娘たちが通う…
ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)も今回で最終回。なんと全8回の特別待遇。ほとんど全アルバム紹介。あまりに寡作で不遇だからだ。ならばむしろエリック・ドルフィーやアルバート・アイラーこそ相応しかった。革新性やスケールではアーヴィンは彼らに及ば…
(連作「ファミリー・アフェア」その1) 次女はあまり自分から感情を表す子供ではなかったが率直な性格で、表情や仕草から自然に心の動きが読み取れ、無口だが言葉に嘘はなかった。 ゴダールの映画「気狂いピエロ」に、 「彼女が『外は晴れよ』と言えば晴れな…
ジャズマンの登竜門といえるモダン・ジャズの名門バンドといえば、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ、マイルス・デイヴィス・クインテット、そしてチャールス・ミンガス・ジャズ・ワークショップになるだろうが、メッセンジャーズ在籍経験者と…
今日は内科と精神科。血液検査の結果が出ているはずなので内科を先に済ませなければならない。 診察開始の9時からそう遅れずに受け付けしたが、10人掛け・3列のベンチがほとんど埋っている。S先生は捌くの早いから10時予約の精神科(同じビルの隣)にぎりぎり…
今回はプレスティッジ後期のブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)。アーヴィンは「バッド・ニュース・ブルース」63.4から「ヘヴィー!!!」66.9までに10枚のリーダー作(うち2枚双頭リーダー)と2枚の参加作がある。3年間で12枚、年に4枚はレコード売上げだけでは…
サイバー犯罪課!なんか凄い時代になったんだな、と思わせる。確か先週の木曜あたりにヤフー・サイトのトップ・ページで読んだが、東京都警視庁サイバー犯罪課は27歳の男二人をインターネット詐欺容疑で逮捕した。手口は「宝くじで2億円当選したが余命が短い…
「5ミンガス」63.9を最後にミンガス門下から独立したブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)は老舗プレスティッジ・レーベルと契約、まだ退団前の録音「バッド・ニュース・ブルース」63.4はエディ'ロックジョウ'・デイヴィスとのテナー・バトル、「エクサルテー…
(1)いえ、年賀状くださったこと、お気になさらないでください。ぼくも昨年父が逝去し、葬儀も済んだことを知らされなかったので各所に年賀状を出しました。伯母からの葉書で父の他界を知ったのは1月4日で、伯母は喪中のはずのぼくから年賀が来たので驚いたの…
ブッカー・アーヴィンはサイドマン参加作も18枚と少なく、その半数がチャールス・ミンガス作品だからなおさら少ない。それだけに参加作はアーヴィンをフィーチャーしたものになった。今回はミンガス作品以外の参加作を見たい。 まず、ミンガス・バンドの同僚…
(「伯母からの年賀状」連作・その13) 「K先生もそうおっしゃってましたか」 と、訪問看護のアベさん。「それは一時的に深酒になったり、買い物して気をまぎらわせたりしますよ。病気じゃない人でもそうですよ。ぼくだって」 「問題ないでしょうか」 「お酒…
ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)のチャールス・ミンガス(Charles Mings)・ジャズ・ワークショップ在籍期間は1958年-1963年で、これは歴代メンバーではジミー・ネッパー(トロンボーン、在籍56-78)、ペッパー・アダムス(バリトン・サックス、在籍57-78)と…
ウォレス・スティーヴンズ(1879-1955)はエズラ・パウンド、W・C・ウィリアムズと並び20世紀アメリカの三大ないしは五大詩人に数えられる。詩の発表は35歳と遅く、第一詩集「ハーモニウム」1923の刊行は44歳。定年まで保険会社に勤務。晩年10年間はほとんど…
(「伯母からの年賀状」連作・その12) …お気になさらずに。切りつめた(やわらげた)文面だったので、何が主語になっているのかわからなかったのです。ぼくはアスペルガー障害(自閉症の一種)の診断もされており、一般的に言語面では婉曲表現や比喩の理解に障害…
チャールス・ミンガスの「ミンガス・アー・ウム」59.5は大手コロンビアの発売もあり、同じコロンビアのマイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」59.3に匹敵する大傑作と喧伝された。ジョン・ハンディ(アルト)、アーヴィン(テナー)、ホレス・パーラン(…
(「伯母からの年賀状」連作・その11) いただいたコメント、再読三読いたしましたが、何をおっしゃっているのか理解できませんでした。ただ、唯一判るのは、ぼくの事態はそういうものではない、ということです。 ではどんなものか、それをうまく説明する方法…