人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アルコール病棟の思い出(前編)

ぼくがアルコール依存症治療院に「学習入院」(と呼ばれる。検査はあるが、内科的な治療が行われるのではないからだ)する破目になったのは、当時通っていた近所の小教会でのトラブルからだった。信徒は15人にも満たず、ごく家庭的なところに思えた。だから毎…

(補16d)オーネット・コールマン

Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。 「フリー・ジャズ」は「ダブル・カルテットによる集団即興」が副題で、ステレオの左はオーネット、チェリー、スコット・ラファロ(ベース)、ヒギンズ。右はドルフィー(バス・クラリネット)、ハバード(トラ…

通院日記・7月29日(月)小雨~曇り

今朝起きたらドアポストに封筒が入っていた。ぼくの受洗教会の牧師先生からの誕生日カードだった(画像)。結婚当初住んでいたマンション宛てで、宛先不明スタンプが捺されていたから、たぶん教会員の誰かが届けてくれたのだろう。なにしろ信徒数4000人を越え…

(補16c)オーネット・コールマン

Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。 モンクやミンガスが感性で(勘で)、トリスターノやセシル・テイラーが理詰めの方法論で試行していたビ・バップ以降のジャズの刷新を、オーネットはあっけらかんとやり遂げてしまった-ただし、デビュー作は…

60年代ロック五大勢力相関図(8)

(1)[ビートルズ解散についてのポールの功罪] 前回の文脈だとどうしてもポールに責があるように見えますが、実際はライヴ活動休止以降、なんとかビートルズを存続させてきた功績はポールにありました。ポールが踏ん張らなければビートルズは「Sgt.ペパーズ」…

(補16b)オーネット・コールマン

Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。 ジャズにとって1959年は驚異の年だった。この年マイルスは「カインド・オブ・ブルー」を、コルトレーンは「ジャイアント・ステップス」を録音。ミンガスは「ミンガス・アー・ウム」他3作を全曲自作曲(「ジ…

60年代ロック五大勢力相関図(7)

(1) ご意見ありがとうございます。質疑応答(もちろん反論も)大歓迎です。このブログは極端にコメントが少ないんですよ(笑)。ご意見をいただいた方が、こうした続き物の記事は方向性を定めやすいのです。 [ビートルズとストーンズの比較~成り立ち] ビートル…

(補16a)オーネット・コールマン

Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。 この「モダン・ジャズの巨人」シリーズは、補足編に入って最初の25人から全作品紹介、名声確立期までの全作品紹介などの再紹介も交えてきた。 そこで今回は素頓狂な人で行く。セシル・テイラーと並ぶフリ…

60年代ロック五大勢力相関図(6)

☆ビートルズ解散は69年2月には確定していた。「Sgt.ペパーズ」を機にビートルズはポールが牽引するバンドになる。元来リーダーのジョンばかりかジョージとリンゴもポールに反発する。あの『イエスタデイ』からこの方、ポールはメンバー不参加のソロ曲をアル…

(補d)ティナ・ブルックス(ts)

Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。 ブルックス編も今回が最終回。この人は、バレル「ブルー・ライツ」Vol.1,Vol.2を一枚と数えれば12枚の参加作しかない。それも58年~61年の間で、74年に肝硬変で没するまでの14年間は完全にジャズ界から姿を消していた。2…

通院日記・7月25日(木)曇り

昨日は眼科、今日は内科に行ってきた。老眼の進行もなく血液も清浄で、内科ではアルコール依存も一笑に伏された。未だにアルコール依存症の診断を取り下げないK先生に言ってほしいくらいだ。体重は67.1kgに落ちた。高脂血症が改善されたからだ。夏で代謝が…

(補c)ティナ・ブルックス(ts)

Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。 いよいよティナ・ブルックスの名を歴史に刻んだセッションが到来した。4枚あるブルックスのリーダー作で、生前に発売されたのはこれしかない。 True Blue(画像1)60.6.25 -メンバーがいい。ハバードのトランペットは共演…

60年代ロック五大勢力相関図(5)

☆67年は端的に言えば「Sgt.ペパーズ」の年だった。だがこのアルバムのあまりに特異な性格ゆえに、ライヴァルたちは独自の方向に向かうことになる。ディランとバーズはカントリー・ロックへ、ストーンズはさらに旧いブルースへ、ビーチ・ボーイズは一種のトラ…

(補b)ティナ・ブルックス(ts)

Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。 錚々たるメンバーの中で物怖じしない堂々としたプレイを披露し(ジミー・スミスの2作)、3週間後には第1リーダー作を早くも制作、出来もいいのにお蔵入り、とブルーノート社の方針はブルックスの将来性を買っていたのか単…

60年代ロック五大勢力相関図(4)

☆66年は初めてビートルズの優位が揺いだ年だった。「ラバー・ソウル」への回答たるボーイズ作品とディラン作品は最高傑作に到達したがディランはバイク事故、ボーイズはスランプで次作は67年になる。「アフターマス」でストーンズは初の全曲自作達成、更に影…

(補a)ティナ・ブルックス(ts)

Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。 マルクス兄弟のグルーチョのギャグにこんなのがある。アメリカ人はこれで大爆笑するという。「私を会員にするようなクラブになど入ってたまるか!」 それになぞらえるのは失礼だが、ティナ・ブルックスを「ジャズの巨人…

通院日記・7月22日(月)土用・曇り

今日は通院日なので「60年代ロック五大勢力相関図」の続きは明日。それもほぼ書き上げているのだが、これが実に楽しい。他のバンドも勿論だが、やはりビートルズ中心の60年代ロック史だからだと思う。ぼくが初めて集めたのが、やはりビートルズで、昭和53年…

(補14b)フレディ・レッド(p)

Freddie Redd(1928-,piano)。 「ミュージック・フロム・'ザ・コネクション'」はオフ・ブロードウェイでヒットしたアングラ演劇への提供曲をアルバムに正規録音したもので、作品は当時の麻薬コネクションを描いたものだった。キャストには何度か交替があった…

60年代ロック五大勢力相関図(3)

☆前回は62年~64年を扱った。ビートルズに先んじて(つまりビートルズの影響以前に)ビーチ・ボーイズとボブ・ディランが登場しており、ビートルズが本国のみのローカル・ヒットに留まっていた63年にボーイズもディランも全米的なスターダム(ただし性格は対照…

(補14a)フレディ・レッド(p)

Freddie Redd(1928-,piano)。 さて、この「モダン・ジャズの巨人」シリーズは今回で263回目になるが、途中から明らかに「巨人」ではないだろう、という人も入り始めた。ブッカー・アーヴィンやホレス・パーランがそれに当たる。また、明らかに巨人だがやって…

60年代ロック五大勢力相関図(2)

まず、五大バンド(正確にはソロ・シンガー含む)のディスコグラフィーを見たい。ここではアメリカ発売盤を基準にした。作品の前後関係に注目していただきたい。 [1962] *Bob Dylan/Bob Dylan(Mar.) *The Beach Boys/Surfin' Safari(Oct.) ☆この年はN.Y.のフォ…

(番外編)ジャズ記事インデックス

この連載も昨年11月1日から続けてきたので、この辺で目次を作っておきたい。元々の参考書「モダン・ジャズ名盤500」の人選が25人で、以降は筆者による補遺になる。 1.チャーリー・パーカー/2.ディジー・ガレスピー/3.セロニアス・モンク/4.バド・パウエル/'4…

60年代ロック五大勢力相関図(1)

(1) はじめまして。ぼくもストーンズ「アフターマス」の本意はイギリス盤(画像1/66.4)にあると思いますが、売上げや獲得したリスナー数、影響力は圧倒的にアメリカ盤(画像2/66.6)にあるようです。ジャケット、選曲の構成(冒頭に明確なアティチュードの曲を置…

(補13i)ジョー・ヘンダーソン(ts)

Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。 ヘンダーソンは地味に70年代以降を中堅テナーとして生き抜いたが、ヘンダーソンの古巣ブルーノートはほとんどフュージョンと未発表作の発掘レーベルになり81年には活動を停止した。 だがアメリカ国内でも往年のブルー…

あぶらだことの出会い

80年代の終りには20代半ばで、ポップスやロックには飽き飽きしていた。高校生の頃熱中していたパンク=ニュー・ウェイヴ、オルタナティブ系ロックにもうんざりしてしまい、ドイツのCANくらいしか聴く気がしなかった。日本ではパンタ、Friction、P-Modelをず…

(補13h)ジョー・ヘンダーソン(ts)

Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。 67年にはヘンダーソンはブルーノート社専属ではなくなっていたらしい。有終の美を飾るアルバムと言えるのが、 McCoy Tyner:The Real McCoy(画像1)67.4.21 -で、マッコイは前年にコルトレーン・カルテットをエルヴィン…

最近のコメントより

(1) 健全なミリタリーもので良かったです(ご子息ならば当然か)。ぼくの友人にはミリタリーから入ってナチス物まで行っちゃって、人革シャツ(!)とか人脂石鹸(!)のオークションにまで手を出した野郎がおりました(車が買える値段だったから競り落とせなかった…

(補13g)ジョー・ヘンダーソン(ts)

Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。 前回取り上げたアルバムの時期、「バスラ」の前にヘンダーソンは、 Freddie Hubbard:Blue Spirits(65.2.19/2曲のみ) Lee Morgan:The Rumproller(65.8.9) -に参加している。前者は新主流派路線の佳作だがヘンダーソン…

ドナルド・バーセルミ「死父」75年

ドナルド・バーセルミ(1931-1989,米)、「死父」The Dead Fatherは75年の第2長編。今回はこの長編小説の序章を紹介して、今日の記事としたい。引用は78年の柳瀬尚紀訳(画像上)から適宜抄出した。 着想は吉岡実(1919-1990)の画期的な長編詩『死児』1958(詩集「…

(補13f)ジョー・ヘンダーソン(ts)

Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。 今回取り上げる3枚中2枚はラリー・ヤング(オルガン)とボビー・ハッチャーソン(ヴィブラフォン)の作品紹介で掲載した。知る人ぞ知る天才ドラマー、ピート・ラロカはロリンズの「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜(エルヴィ…