人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

山本陽子の詩業

今回は山本陽子の代表作「遥るかする、するするながら ?」(1970)を冒頭から制限文字数まで紹介する。28行、全編の5分の1に当る。原文も横組みなのを注記したい。 遥るかする 純めみ、くるっく/くるっく/くるっくぱちり、とおとおみひらきとおり むく/ふく…

詩人・山本陽子

今では見る影もないが、かつての「現代詩手帖」はキャンプな雑誌だった。これと「映画評論」「新劇」のバックナンバーは探す価値があった。 雑誌といえど作品と批評のアンソロジーと見れば書籍に劣らない重みがある。もちろん目玉になる作品あればこそだが。…

逸見猶吉「ウルトラマリン」

大岡信「マリリン/マリーン//ブルー」から連想するのは三好達治「郷愁」(「測量船」1930年所収)の名高い一節、 「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。--海よ、僕らの使う文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海…

警句と皮肉(2)

「私たちは運命だと思うの」と結婚を決めたのは妻だった。話し合いもなしに離婚を決めたのも妻だった。 別れた妻は初めて会った時から嘘も隠し事もできない女性で、離婚の間際までそれは続いた。ぼくには一言もなく保健所と警察署に離婚の計画を起てたのは娘…

警句と皮肉(1)

内容は忘れたのに警句じみた一節で印象深い本が結構ある。詩は別格だがなぜか批評より小説が多いのは批評自体警句みたいなものだからだろう。ドイツ系はロジック重視で楽しめないが、どこか不真面目なフランス、度を越して現実的なイギリスでは哲学も冗談す…

思わぬ休日(日記・6月26日)

やっと日曜礼拝に2週連続出席したのに今日はまたもや早朝覚醒、自宅ですら鬱の予兆から来る緊張感に縛られ、せっかく直ったテレビで「海賊戦隊ゴーカイジャー」「仮面ライダー・オーズ」「スイート・プリキュア♪」を見たがまるで集中できない。礼拝30分前に…

大岡信「マリリン」

今回は大岡信(1931~)の「マリリン」(62)をご紹介。モンローの急逝は62年8月5日、収録詩集「わが詩と真実」は同年12月1日の奥付を持つ。欠点がないのが欠点、と言いたくなるような佳作だろう。第3連にやや無理があるが、最後の3行が洗い流す。ご一読ください…

死と暴力(3・少しの愛だけでも)

タイトルはファスビンダーの映画(1974)から。以前に「死と暴力」という題目で2篇書いた。続けたかったができなかった。あえて書きたくないような記事をぼくは書こうとしている。 通りすがりの人から暴力を受けた経験が結婚生活末期に2度、出所直後に1度ある…

夢を喰う人(日記・6月23日)

一人暮らしで自宅療養中というと通院は必須だがあとは家事と炊事、どちらも大して手間どらないから時間はたっぷり余る。気晴らしとリハビリと少々のおこづかい(1万円までは生活扶助支給の枠外として収入になるはず)を目当てに障害者作業所に行きたい、と数年…

わびしい食卓(日記・6月22日)

一人暮らしの自炊は生鮮食品では割高なので朝はチーズとベーコンのサンドイッチに粉末ポタージュ・スープ、バナナ1本(毎日は飽きる)。昼はご飯に味噌汁、漬物、納豆(毎日は飽きる)か缶詰。夜はとにかく麺類。順番が替ったり手抜きはあっても凝ることは決して…

続註「スカンクの時間」

結局詩人が告白したかったのは、自分が告白しうる過去を持ち、それを告白できる人間に生まれかわったこと、という希望でしょう。「ここには誰もいない--//スカンクだけだ」がこの詩の胆をなす所以です。 おそらく詩人は野性とともに母性を自己回復のために…

キンクス/レイ・デイヴィス

どちらにするか迷った。もちろんジョン・ハイズマンとだ。レイ・デイヴィス(キンクス)とジョン・ハイズマン(コラシアム)に何の関係が?はい、実はこの二人同年同月同日生まれ、1944年6月21日が誕生日なのです。御歳67歳で現役ミュージシャン。英国方向を向い…

詳解「スカンクの時間」

今回もアメリカの詩人ロバート・ロウエルの代表作「スカンクの時間」の検証です。 先に時代背景と作者の意図について質問を受けました。朝鮮戦争休戦後のアメリカ文化の退廃に、聖と俗の対比として野生のスカンクの生命力に蘇生への希望を願う、では紋切り型…

恋愛映画(ヌーヴェル・バーグ編)

「作家主義」(リブロポート1985年刊)という10人の映画監督の巨匠のロング・インタビューを集めた本があります。これは若手映画批評家時代のフランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメールらが手がけたもので、やがて彼ら自身もヌ…

「スカンクの時間」解説

ご意見ありがとうございます。ぼくもそうしたかったのですが、まず全訳してから冒頭に解説を書くとあれだけで制限文字数に達してしまいました。訳詩の方を抄録するにはあの詩は厄介な構造を持っています。改めて追補しましょう。 アメリカの詩はエミリー・デ…

訳詩「スカンクの時間」

ここに訳出したのは第二次世界大戦後のアメリカ現代詩を代表するロバート・ロウエル(Lowell,Robert/1917-77)の第4詩集「人生研究」(1959)の追尾を飾る一篇で、影響力は55年のアレン・ギンズバーグ「吠える」と双璧をなす。 「スカンクの時間」 ロバート・ロ…

病棟スケッチ(8・女難完結)

女難の話はおしまい。あれ以上詳細にエピソードを並べても繰り返しにしかならない。堀口優子を回避して、なんとか無事に退院してきた。 誰一人「だったら結婚しちゃえば?」とは言わなかった。こんなことで心を痛める責任はないのだが、つきまとってくる堀口…

病棟スケッチ(7・女難5)

ジュリアさんは約束を守った。シフトが一巡すると病棟の全医療スタッフに一昨年の堀口優子とぼくの因縁が知れ渡った。ジュリアさんはそのために書類まで作製した。忍の一字の精神科病棟でこんな面白い話題は滅多にないからだ。翌日の責任者で優しさと親切さ…

病棟スケッチ(6・女難4)

「スゴい!なんてストレートな!」爆笑しながら山本介護士は言った。荒川ナースも笑いにひきつりながら、 「佐伯さん、じゃなくて佐伯さんのご両親ていうのがキモ座ってるわよね。それでどうしたの?」 「親の考えは分からない、とその質問には答えて、後は彼…

病棟スケッチ(5・女難3)

もちろん「奥さんとお子さんは…」の前に名乗りあいはあった。堀口優子。ぼくが名乗ると「お幾つですか?」来月44(当事)になります。「…私は37です。28の時から入院してます」これは返答に窮する。迂闊に「大変ですね」とも言えない。 「はあ、そうですか」と…

日記(6月12日・日曜)

(ブログを始めてちょうど1か月。のべ568人の訪問者がありました。1日12人~34人、大体20人前後です。今後ともよろしくお願いします)。 今日は嬉しいことがありました。1年半ぶりに教会の礼拝に行ったのです。本当はドクター・ストップなのですが行ってしまい…

病棟スケッチ(4・女難2)

やっと24時間点滴が外されて病院食が食べられるようになった時は嬉しかった。初日はお粥で、箸が使える自信がないのでおかずもスプーンでほぐして食べていた。翌日からは普通食になったがまだ箸で食べる勇気がなかった。 ベッドの上で手のひらをかざし、赤ん…

病棟スケッチ(3・女難1)

アルコール依存症の学習入院を挟んで、一昨年に危篤状態で緊急入院したのもこの病院だった。ぼくは寝返りはもちろん腕すら挙げられない惨状だった。3週間は24時間点滴で寝たきり。検査の度に担架で運ばれた。体は2日ごとに拭いてもらい、入浴は車椅子ごとシ…

あるジャズ・バンドの記録

隠すほどではないが、ぼくはフリーライター時代趣味でジャズのバンドをやっていた。ジャズを聴きはじめたのは20代半ばで、聴く内に自分でもやりたくなり間違えてアルトサックスを買ってしまった。好きなサックス奏者はほとんどテナーだったのに。結果的には…

病棟スケッチ(2・乖離性障害)

今回でぼくは入院は4回目になったが、入院するとまず入れられる隔離室はこれまでで最長の3週間だった。何も持ち込めない。メガネだけだ。2週目から3時に1時間ほど病棟内に出してもらえるようになった。ナースからペンを借りて意見箱の紙をガメて隔離室で記録…

病棟スケッチ(1)

内山さん(仮名)は小柄な女性で身長145?もなかっただろうか、物静かで大概部屋に引っ込んでいたのでルームメートと何歳なんだろう、とても病気には見えないね、と話していたものだ。「小学生なんじゃないかな」と三井さん(仮名)。「まさか。小学生だったら小…

バカ話(4・俳句)

アル中病棟今日の昼食後のお題は「毛」なり(しかも50音順) 「佐伯さん頼みます」とわれは笑点大喜利か 「暑苦し毛」というからには全身毛がボーボー 「愛し毛」ならば睫毛がくるりとカールでしょ 「鬱陶し毛」はなかなか手の届かぬ処なり 「偉ぶり毛」眉毛口…

バカ話(3・序説3)

手元に本がないので記憶で再現するが松田道弘の名著「とりっくものがたり」にこんな話があった。 「ある男が人を殴って警察で取り調べを受けました。「なぜ殴ったんだ?」「あの男が私をカバと言ったからです」「それは何年も前のことだそうじゃないか?」「…

CD買い直し計画(ロック編)

ぼくが逮捕されて有無を言わさず多摩警察署の留置場にぶちこまれたのは2007年5月23日、横浜拘置所に押送されたのが8月1日だから、4年前の今ごろはまだ逮捕から2週間ほどで刑事の取り調べも始まっていない最悪の環境にあったことになる。自分が何の容疑で檻の…

バカ話(2・序説2)

前回は話題の途中でいきなり(続く)になってしまった。何も気を持たせようとしたのではなく、ブログ1回の文字量制限がそこまでだったのだ。1000文字というとペラ(200字詰)5枚だな、と最初は原稿用紙に書いてから載せた。携帯で清書すると1785バイト。でも直接…