人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

幻覚、幻聴、妄想(続)

ぼくは部屋の半面に棚のCD本を全部積み上げた。肩の高さに畳2畳分にもなった。これで売り払う準備はできた。明日にはこの部屋を出よう。不倫も行き詰まっていた。ぼくは逃げ出したかった。 翌朝起きるとCDと本は異様な崩れ方になっていた。亀の甲のようなド…

幻覚、幻聴、妄想

久しぶりに幻覚を体験した。今回は軽かったが、起き出すと子供のようにひどい寝汗をかいていた。この文章は一種の悪魔祓いだ。 昨日はメンタル・クリニックと薬局、買い物の1時間の外出だけで疲れきった。数日間何も食べていない。買い物にすら出られない。…

尊敬する人へのメール

先生お元気ですか。佐伯です。 ぼくは鬱がひどく、この3週間寝たきりになっています。精神科の通院以外は近所への買い物がせいぜい、3週間の合計で数時間も外出ていないくらいです。 起きているのは1日数時間程度、後は目が覚めてもずっと横になっています。…

クライスト・チャーチ

田舎町に小さな教会が建った。町の名士の洋服店主が中央の教団から牧師を招いて設立したもので、この町では最初のキリスト教会だった。もちろん始めはごく少人数で、洋服店の従業員と店主の家族、知人しかいない。ぼくの父と母は従業員で父は洋裁士、母は受…

もっと光を…

スタンダールの墓碑銘は「生きた、書いた、愛した」。プロの作家ではなく政治家だった。しかしこの墓碑銘は素晴らしい。先にやられたという感じだ。 漱石の死に際の言葉は「嫌だ、まだ死にたくない、今死にたくない」というようなもので(ぼろぼろだったらし…

出会い(決着)

出会い、というリクエストには悶絶した。あなたは天然だ(笑)。ぼくのブログは性愛と精神疾患、離婚や逮捕とうかつにコメントできない内容ばかりなのでコメントは皆無、でも2週間で毎日の訪問者は30人になりました。みんな毎日読んでくれるのです(子育て記事…

出会い(訪問者)

ストレートでいいんだ、とやっと気づいた。ぼくに「出会い」というテーマをリクエストしてくれたあなたとはもう出会っている。ライター時代にはこんなに読者と向き合っている感覚はなかった。10万部、20万部の雑誌に書くことは文章をお金にすることだった。 …

出会い(友人の思い出)

仕事を終えてアパートに帰ると、ドアの前に親友が立ってぼくを待っていた。右手にハンマー、左手に包丁。部屋の窓にはガムテープが張ってある。 「殺す。おれも死ぬ」 「なんで殺すんだい?」 「あんたがいると死ねないんだ」 ぼくは彼の自殺未遂を何度も助…

出会い(不倫篇続き)

そうだ、「情事の終わり」があるじゃないか、と思いついたのは要するに近代・現代の恋愛小説は不倫小説ばかりなのに改めてきづかされたからだった。あるいは失恋小説。さすがに三島は狙いが鋭く、不倫や失恋の要素の一切ない「潮騒」でますます評価を高めた…

出会い(不倫の始まり)

そうだ、グレアム・グリーンの「情事の終わり」もあったな、多分今は絶版だが伊藤整の「小説の認識」に詳細な分析がある。再読してみよう。全集が書架にある。伊藤整はジョイス「ユリシーズ」とロレンス「チャタレー夫人の恋人」の初訳をこなしたシゾイド型…

入院日誌(里霧へのメール)

きみはぼくと出会う前から鬱があり、リストカットが癖があり、過食があり、アルコール依存症があった。そんなきみとぼくは出会った。きみは可憐だった。 今回のぼくの入院はお先真っ暗だった。隔離室から出てノートとペンを許され長い長い日記を毎日書いた。…

出会い(続篇)

中学2年の頃、ぼくは母に迫られて近親相姦の状態にあった。実際の行為には至らなかったがきわどかった。 日曜の昼寝の布団に呼ばれ、赤ちゃんの時にはこうしてあげたのよ、赤ちゃんみたいにお母さんに甘えて。夢の中では本当の行為に進んで夢精した。数年後…

怒り

ぼくの親友、職場の同僚はいきなり社長からひどい罵倒を受けた。それも全員の前で。彼の無能が全体を滞らせ損害を与えている、なぜお前はここにいるんだ? 誰もが黙っていた。ぼくも。彼はきちんと仕事している。ぼくたちも。たまたま彼が言いがかりの標的に…

出会い

あなたのリクエストには意表を突かれた。「出会い」ぼくはなにを書けばいいんだろう。 ぼくは「ひとこと」でリクエストを募集していた。クリスチャン教育、女性経験、芸術一般(特に文学、音楽、映画、美術)、サブカルチャー一般、ライター家業、結婚と育児、…

マルカム・ラウリー「火山の下」

大学生の時に旧訳で読んで、その時は通読していた。だが昨年の春に出た新訳はどうしても3章あたりまでしか読み進められない。1947年発表だが戦後文学ではなく20年代からのモダニズム・アヴァンギャルド文学の最後のナイフだろう。これが! モダニズムは美術…

慢性化統合失調症候群患者の妄想をじっくり聞く

里霧さん、 軽い話題にしよう。これはぼくが1年前のY病院の入院中にとったメモだ。 「統合失調症患者竹内・男性・推定48歳の訴え」 ・ロッカーから3万円盗まれた ・ヘルパーTが偽名Aで再就職している ・患者Hがスポーツ大会以来自分を憎んで脅してくるので…

気にもしない男(2)

(第4期・妄想の定着) ・自分を中傷し足を引っ張る人間が常にいる ・リーダーシップをとることに執着があり、円滑なチームワークを進めることができない ・生活習慣の優先順位が著しく乱れる ・自分に同情的な相手にも尊大な態度をとる ・自慢話は誇張するが…

気にもしない男(1)

これはKくんから同室3日目に彼に求められて作成したアナリュシスだ。想像で書いた。本人は一読して一驚「ぜんぶ当たってる!なんでわかるの?」「ぼくはそういう職業だからさ」 (K・H・男性患者45歳、暫定的診断=ストレス性人格障害。躁鬱から統合失調の…

里霧へのメール(予備不安3)

この後ちょっとビターな内容に入る。調子がよくなかったら、読まないで。 ぼくもきみに恋愛感情を持っていたんじゃない。きみがメールで何度も「恋愛感情ではありません」と書いて来たのでおかしかった。恋愛感情でもないのに、二人とも「予備不安」を抱いて…

里霧へのメール(予備不安2)

「入院は楽しかった」ときみは書いてた。でももういいわ、とも言っていたね。ぼくは家庭生活の末期に家庭からの避難を切望していた。それは一時的なものでも良かったんだけど、妻は離婚を決めた。たぶんそれが、ぼくたちがわかりあえた理由だ。 きみとぼくの…

里霧へのメール(予備不安1)

午後の地震には驚いたね。ぼくはきみへのメールをそろそろ仕上げる所だったが、どさどさ崩れてくる本やCDから逃げてバスルームに避難し、揺れが収まって部屋を片付け携帯電話を見ると書きかけメールの冒頭数行しか残っていなかった(ああ!)。それでとりあえ…

終わってなかった

近所だからといって油断ができたものじゃない。ぼくは午前中の疲れをくつろいで、ブログに新しく投稿した。ぼくに訪問してくれる中でとても気になる女性がいる。結局ぼくは読者を意識して書いている。彼女はどう思ってくれるか。 ぼくは月刊誌で5万部、8万部…

里霧へのメール(震災篇3)

「佐伯さんに可愛い彼女ができますように」ときみはメールで言った。「だってそうじゃなきゃ思い切れないもの…」と電話で言った。「今度また入院したら、また女ができるぜ」「きっとそうね(笑)」とも話したね。きみは本当に可愛い。 連絡再開後、きみは「大…

里霧へのメール(震災篇2)

Uさんはぼくの俳句を「グロテスクなユーモアと抒情」と認めてくれて、独立性の高い句をセレクトしてくれた。 「U…選・佐伯和人代表句」 ・ラジコンよムショの夏空飛翔せよ ・逆光に鳥影走る錯視かな ・陰嚢の裏は調べず若白髪 ・白井さん既にパスカルの深…

里霧へのメール(震災篇1)

可愛い里霧、地震は驚いたね。 こういう時には、今きみはまずお母さんで奥さんでなければいけない。ぼくはもうそのことでつらい気持にはならない。 退院後の初受診で主治医から「今困っていることは?」「退院後に交際を求められている女性がいます」「ああ、…

今日は終った

正午に帰宅、今日は終った。まったく気力も体力も残っていない。この1週間で外出時間は合計30分。鬱のどん底で部屋に閉じこもり食事は1日2食。1食はざるそばかサンドイッチ、1食は豆腐一丁。これでは佐伯祐三や辻潤のように餓死しかねない。躁鬱病者の鬱期は…

娘たち(2)

次女の出産はすぐに迫った。「破水したわ」と妻は言った。長女は熟睡中。「私ひとりで行ける、タクシーで。あかねをお願い」 妻を送り出して2時間後に産婦人科から電話「素晴らしい安産でしたよ。奥様もお嬢様もお元気です」 妻は長女の時も破水から3時間、…

「男としてのわが人生」への里霧からの手紙

まだ6歳の幼い子供が性的対象にされた事に、怒りを感じます。これは犯罪です。だからあなたは女嫌いなの? でもそれより、あなたのお母さんとあなたとの関係はもっと驚きです。14歳のあなたは拒まなかったの?おかしいと思わなかった?私には理解不能です。…

娘たち(1)

里帰り出産だったから妻と長女を迎えにいったのは3ヶ月になった頃になる。あかちゃんてバンザイして寝るんだな、しかも毎日新しくからだを動かすことを自分で発見する。両手をあわせる。腕を組み合わせる。指を組み合わせる。表情が多彩になる。オルゴールの…

ジャムセッション

ジャズのジャムセッションといっても実際の現場を経験した人はあまり多くはないでしょう。友人知人の楽器演奏家に訊いても「ジャズはちょっと…ジャムセッション?」そんなものです。でも実際体験してみるとこれほど面白いことはありません(店によるけど)。 …