人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補20c)アルバート・アイラー(ts)

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Albert Ayler(1936-1970,tenor sax)。
ESPレーベル第一弾としてバイロン・アレン・トリオはともかく、ジュセッピ・ローガン・カルテットとアルバート・アイラー・トリオのメンバーは凄かった。前者はミンガス・ジャズ・ワークショップのピアニストになるドン・プーレン、ビル・エヴァンス・トリオを担うベースのエディ・ゴメス、フリー系ドラマーの重鎮になるミルフォード・グレイヴスがいた。また、
Spiritual Unity(画像1)64.7.10
-では発掘ライヴ盤「プロフェシー」同様、後にキース・ジャレット・トリオで現代ジャズ・ベースの頂点に立つゲイリー・ピーコック、元セシル・テイラー・ユニットでパルス・ビートの創始者サニー・マレーからなる最強のトリオだった(アルバムは初回プレス300枚限定で、サンプルは日本のスウィング・ジャーナル編集部にも届き、一躍アイラーを驚異の新人にした)-トリオというフォーマット、しかも最上のメンバーを得て、代表曲'Ghost'を収めるこのアルバムは発表と同時に古典的名作となった。徹底してフリー、だがどの曲も親しみやすく、爽やかな聴き心地がある。

ところが七日後にインディペンデント映画のサントラとして制作された、
New York Eyes And Ear Controll(画像2)64.7.17
-は、トリオにドン・チェリー(トランペット)、ジョン・チカイ(アルトサックス)、ラズウェル・ラッド(トロンボーン)を加えた集団即興作品で、先駆者オーネット・コールマンの「フリー・ジャズ」60や、アイラーに逆影響を受けたジョン・コルトレーンの「アセンション」65にはおよびもつかない散漫な垂れ流し演奏になった。フリー・ジャズ最盛期とはいえ、よく発表されたものだ。

アイラー・トリオはドン・チェリーを加えたカルテットでヨーロッパ・ツアーに出発する。
Ghosts(画像3)64.9.14
-はコペンハーゲンのスタジオ録音で、「マイ・ネーム~」「スピリッツ」同様デンマークのレーベルから発売された。内容は「スピリチュアル・ユニティ」の増補改訂版で、チェリーの素晴らしいトランペットによって甲乙つけ難い作品になっている。