人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

#8.続々続々『ソー・ホワット』

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前回は高校までに、音楽の授業で習うことのおさらいだった。だが自分に必要ないことは習っても忘れてしまうもので、ぼくなど全国白地図を出されて、都道府県と県庁所在地を記入せよと言われても手も足も出ない。長野県がなぜあんなに長細いのか理解に苦しむ。島根県鳥取県も紛らわしい。

親戚づきあいが一切ない家庭に育ったので直系以外の親族関係が一般的にはどういうものかもわからない。これは学校とは関係ないようだが、ぼくが小学生の頃はプライヴァシーは重視されておらず、挙手のかたちでお年玉のアンケートを担任に取られた。高い順から下がっていって、ぼくは40人クラスの中で最下位だった。両親からと父の勤める会社の社長のMさんからもらうお年玉が全部だったからだ。担任が変っても毎年必ずお年玉調査があった。ぼくは恥かしいとも思わなかったし、羨ましいとも思わなかった。クリスチャンはお金のことで恥じたり、羨んだりすること自体を恥じるのだ。

全然音楽記事ではなくこれではただのエッセイだが、普通の山岳道を登っていても別の山頂についてしまうのがジャズマンというものだ。でもめんどくさくなるといきなり話をはしょってしまうのもジャズマンの習性で、モード奏法とはなにか、というと、前回解説した長調(メジャー・スケール)でも短調(マイナー・スケール)ではなく特種な音階を使う。いわゆる長調短調イオニアン・モードと呼ばれる。
移動ドではなく固定ドで説明すると、レから始まる音階がドリアン、ミから始まる音階がフリジアン、ファから始まる音階がリディアン、ソから始まる音階がミクソリディアン、シから始まる音階がロクリアン。
ドから始まるイオニアン・モードとリディアン、ミクソリディアンがメジャー系で、ラから始まるイオニアン・モードとドリアン、フリジアン、ロクリアンがマイナー系モードになる。

これでは何やら、演奏したことのない人には訳がわからないと思うが、『ソー・ホワット』で言えばAA'BAのAメロはすべてDm7と考える。ピアノでコードを弾くなら構成音はレファラド。これにピアノなら白鍵だけでレミファソラシドレ、アクセントはシに置く。通常の長調とも短調とも違う、全半全全全半全という音列になる。これがバッハ以前のチャーチ・モード(教会旋法)という手法で、ジャズへの応用は画期的なことだった。