人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(42a)ポール・デスモンド(as)

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Paul Desmond(1924-1977,alto sax)。
ビ・バップ以降のジャズ界に輩出した白人アルトサックス奏者でも最大のジャズマンのひとり。人気は突出しており、ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテットの固定メンバーになった50年代初頭から没年までの25年間に渡ってジャズ雑誌の人気投票のアルトサックス部門のトップに君臨した。

ブルーベック(ピアノ)~デスモントはカルテット結成に当たってレニー・トリスターノリー・コニッツ・カルテットから決定的な影響を受けており、それは第1作'Brubeck~Desmond'56.8,52.9(画像1)でまだ未消化なかたちで現れている。トリスターノ~コニッツの手法は黒人ビ・バップのコード分解によるアドリブ手法に対してアンサンブルの基本をコード進行ではなく対位法によって行う、と解説してもまったく具体的なイメージがわかないと思うが、ジャズのバロック音楽化と思えば当らずとも遠からず。'All The Things You Are'などのスタンダードをトリスターノ~コニッツならこうやるだろう、ただし親しみやすいポップさとメロディアスな音楽性は保とう、という姿勢が最初からあった。

'The Paul Desmond Quintet'54.10~12と'The Paul Desmond Qurtet'56.2(画像2)はデスモントの最初の2枚のリーダー作で、10インチLP原盤の前者(ギターにバーニー・ケッセル)、12インチLPの後者(mellophone奏者のドン・エリオットとのカルテット)ともピアノレスの編成。ブルーベック4在籍時のデスモントのソロ作は以降ピアノレスが慣例になる。前者では'Misty'、後者ではYou Go To My Head'が良い。

ブルーベック・カルテットは自身のインディーズ「ファンタジー」から5枚、大手コロンビアと契約して全米的人気グループとなり、コロンビア13作目のThe Dave Brubeck Quartet'Time Out!'59.6~8(画像3)は収録曲'Take Five'(デスモント作)、'Blue Rond A La Turk'(ブルーベック作)共々大ヒットとなる。この頃には彼らは黒人のモダン・ジャズ・カルテットと並びジャズ界でもっともポピュラーなグループだった。