人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補3j)セロニアス・モンク(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Thelonious Monk(1917-1982,piano)。
前回掲載の「クリス・クロス」は全8曲で全曲再演(CDではカット部分を復元し別テイク4曲追加)、「モンクス・ドリーム」では新曲は'Bright Mississippi'のみだが、弱小インディーズで注文か通販でなければ買えないレコード発売しかなかったのがこれまでのモンクだった。再演中心でも需要は大きい。コロンビア専属といえばマイルスやブルーベックだが、モンクも後輩の彼らに肩を並べる人気アーティストになったのだ。

ただしそこでアルバム企画のパターン化の弊害も起きた。全8曲前後、うちソロ1曲、新曲は1~2曲。マイルスたちは毎回趣向を凝らしていたが、彼らより10歳の年長だったモンクはすでに発展期より円熟期に入っていた。この時点で45歳だがメジャー・デビュー以前に30年近いキャリアがあったのだ。一方でモンクより先に出世したやや年少のバドやトリスターノは仕事の上では晩年にさしかかっていた。

2作連続のスタジオ作の次は2作連続のライヴ盤、
Misterioso(Recorded On Tour)(画像1)63.5-65.5
Big Band & Quartet In Concert(画像2)63.12.30
-に続く。前者は同題のライヴ盤がリヴァーサイド時代にあったが、今回はヨーロッパ・ツアーからのオムニバス。後者もやはり「タウン・ホール」と同じアレンジャーによるビッグバンド作品と、二番煎じ企画とも言える。演奏は悪くないがどちらもリヴァーサイドより音質(ミックス)が悪いとは呆れる。CDではカット部分を復元、曲数も増えているが音質の改善はない。
次のスタジオ録音、
It's Monk's Time(画像3)64.1.29-30,2.10&3.9
-は週刊紙「タイム」の表紙登場記念で、ジャズマンとしてはルイ・アームストロング、ブルーベック、エリントンに続いて四人目という。ブルーベックの時は「ブルーベック・タイム」というアルバムが出たが、マイルスが表紙になってもイメージ上「タイム・オブ・マイルス」なんていうアルバムは出さなかったと思う。
今回はソロ2曲にバンド4曲で、バンド曲はリヴァーサイド時代に再演はなかった珍しいオリジナル。そこが売りだろう。