人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補12b)B・ハッチャーソン(vib)

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Bobby Hutcherson(1941-,vibes & marimba)。
前回掲載のエリック・ドルフィー「カンヴァセーションズ」「アイアン・マン」は、悪名高い名物プロデューサーのアラン・ダグラスに買い叩かれた全9曲を2枚に分けて発売されたもの。ソロ、デュオ、セクステット、さらにテンテットまで編成は多彩で、ピアノレスだからハッチャーソンの貢献はとても大きい。MJQの巨匠ミルト・ジャクソンとは同じヴァイブでもまったく違う新しさがある。
ハッチャーソンの存在感は流麗なソロよりもトランス感のある空間性にあり、それはフリー・ジャズを経過した60年代ジャズで初めて生れたものだった。ヒル、ハンコック、ヤングらと共通する「ブルーノート新主流派」の音楽性を代表するものがハッチャーソンのサウンドだったといえる。

マクリーンとの次作、
Jackie McLean:Destination Out!(画像1)63.9.10
-ではベースとドラムスは交替したが、前作以上にモンカー色が濃い。前作は全4曲中2曲ずつマクリーンとモンカーが分けていたが、今回はモンカー3曲、1曲がマクリーンで、曲もアレンジも陰鬱で重い。完成度は前作をしのぐが、これは好みが分かれるだろう。モンカーはブルーノート新主流派よりもフリー・ジャズに振れていった人だった。

次にハッチャーソンが起用されたのは、
Grant Green:Idle Moments(画像2)63.11.4&15
-で、ギタリストのアルバムだが、やっとピアノもテナーサックスも入った普通のジャズ・セッションへの参加になった。タイトル曲は日本のジャズマンに影響を与えムード歌謡の原型になる。実質上のプロデューサーだったピアノのデューク・ピアソンとグリーンの曲が半々だが、せっかくのヴァイブ入り編成だからか'Django'をやっていて、これがなかなかいい。ピアソンとグリーンのオリジナル曲も良く、グリーンでも人気の高い作品になった。

問題の男、
Grachan Moncur 3rd:Evolution(画像3)63.11.21
-は全4曲モンカー自作で'The Coaster'がいい。ベースは交替したが「ワン・ステップ・ビヨンド」にトランペットのリー・モーガンを入れ、マクリーン、モンカー&ハッチャーソンの三部作完結編といえる。