人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

#33.承前『イエスタデイズ』

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どこまで書いたっけ?そうだ、セットリスト会議だった。お店から二時間半の枠をもらったなら、休憩を挟んで一時間を二セットが妥当だろう。第一部は予定通りこなし、第二部は撤収時間までやればいい。今回は西島さんというプロの妙齢美人ピアニストもいる(ただしまだうちのバンドとは浅い)。西島さんが休む曲とギターの花ちゃんが休む曲があるので、メンバー五人全員が揃う曲は半数ほどになる。

で腹ごしらえしながら50曲以上あるレパートリーから20曲以内に絞りこみ、メンバーの出入りも曲の流れも考慮してセットリストを組むのは楽しかった。これはバンド経験者でなくても音楽好きの人なら想像できると思う。経験者ならばなおさらのことだ。さっき店にあいさつに寄った時、モニター調整で一曲演奏することになり、アップテンポで『ブルー・ボッサ』を演奏してきた。あれがうちのバンドではいちばん音のでかい曲だし、五人揃って演奏できる曲の中ではもっとも平易で、全員のソロをまわしても四分程度の短縮ヴァージョンにしやすい、と、即座に決定できる程度には、ぼくは統率力のあるリーダーになっていた。

バンドにリーダーが必要なのは、クラブの出演交渉やギャラの支出に代表者が必要だからでもある。前回確か「チャージ・バック」という言葉を使ったと思う。これはジャズ・クラブばかりでなく、ロックやポップス系の、セミ・プロ級までのミュージシャンの出演するライヴ・ハウスでも行われるギャランティのシステムになる。解説しよう。

お客さんはチャージと呼ばれる入場料と、オーダーとして最低一つの飲み物か料理の注文をとられる。オーダーはすべてお店の収益になる。
お客さんが10人未満や5人未満だとバンド側が最低10人分のチャージを負担。10人以上20人未満だとチャージの10%、20人以上30人未満だと20%、30人以上40人未満だと…という具合に10人刻みや5人刻みでチャージから報酬が出る。ロック系だと複数のバンドで知りあいを客に呼ぶが、ギャラは頭割りなので必ずしも儲からない。うちは単独出演(ジャズでは大概そう)で、この時は4万7千円のギャラが出て、西島さん、花ちゃん、守屋くんに1万5千円ずつ、残りの2千円をぼくとKで分けた。ぼくとKは本職で稼いでいたが、彼らはジャズだけが本職だったから当然のことだった。