ビリー・ホリデイ9

「奇妙な果実～ビリー・ホリデイ自伝」巻末の故・大和明氏による評伝は今なおもっとも簡潔で要を得たビリーについての日本語文献であり、急逝三年前の56年に原書が刊行されたビリー公認のロング・インタビューである本文と併せて必読かつビリー入門にも最適の一冊といえる。翻訳は故・油井正一氏と大橋巨泉氏の共訳で57年に「黒い肌」というタイトルで日本語訳の初版が刊行された。
前回に紹介した47年2月録音の後、ついにビリーは逮捕される(44歳の生涯で5回入獄している)。47年5月に「麻薬所持による輸入脱税罪」で有罪になり、翌年3月中旬まで10か月の間投獄された。その結果、ビリーの音楽活動は大きな支障をきたし、それは経済状況にも反映してビリーをいっそう苦しめ、私生活はますますすさんだものになっていく。ここから急逝までの12年間は結局ビリーにとって後期の、安定と不安定の交錯する音楽活動となる。

出獄後、最初のセッションはシンプルなバックに情感のこもった歌唱を聴かせてくれる。同日録音の2曲がいい。
［Billie Holiday-Porgy］'48.12.10
http://m.youtube.com/watch?v=gpO0cdQoOVw&fulldescription=1&gl=JP&hl=ja&guid=ON&client=mv-google

［My Man］'48.12.10
http://m.youtube.com/watch?v=_VfX451prmY&gl=JP&client=mv-google&guid=ON&hl=ja

また、敬愛する先輩ベッシー・スミスのレパートリーより。
［Do Your Duty］'49.9.8
http://m.youtube.com/watch?v=Kzi_vaqDpxw&hl=ja&guid=ON&client=mv-google&gl=JP

さらに巨匠ルイ・アームストロングとのデュエット。
［You Can't Lose Your Heart(with Louis Armstrong,tp&vo)］'49.9.30
http://m.youtube.com/watch?v=vpgyYUW6fas&client=mv-google&gl=JP&guid=ON&hl=ja

(続く)