人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記144

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・4月3日(土)晴れ
(前回から続く)
「あまり確実と請け負うのも期待させてしまうのでまずいが、実際これまでの入院や、今回入院して同じ病棟の人たちが退院していく様子でも、退院についての面談があるのは主治医側でもう退院の許可を用意している場合が多かった。この女性の場合再入院のきっかけがお母さんで、説明の中にお父さんが出てこないからおそらくお母さんと二人暮し、そのお母さんを交えての退院面談ならばほぼ確実、お母さん側に退院後のお嬢さんを迎える気持の整理が済んでいるかを確かめて退院許可を出す、という段取りだろう。ではお母さん次第ですね、この週末帰宅でよく話しあわれて…。はい、そのつもりです」

「退院後のご予定は?今の彼氏の仕事を手伝おう、と思っています(左手の薬指にリングが光っていた)。ご結婚の予定ですか?はい…彼のお父さんにはお会いしたんですけど、お母さんにはこれから…一緒に住む予定ですから。彼女は立ち上がり、ここ(ロビーの中庭の窓越しに鳥籠がある)にインコを見に来ていたんです。帰宅するのはまだだし、外出制限一時間だからもう行かなきゃ。じゃ、お幸せに。おたがい名乗りもしなかったが、それも自然なことだった」

「外出制限時間は第二病棟も同じなので一旦戻り、しばらく経ってからロビーに再外出。携帯電話は16時までに戻さねばならない。教会の皆さんと共に、離れたところから明日のイースターを祝い…上手く書けないのは先生からのメールがあまりに心のこもった文面だったからで、型通りの部分は今日他の人に送った文章を流用し、あとは率直に先生からいただいたメールへの感謝の気持を書いた。ようやく仕上げて、ふと玄関に気配を感じて見ると、先ほどの若い女性がおそらく結婚予定と言っていた彼氏らしき男性と自動ドアを抜けるところだった。外泊手続きのためにこの病棟の総合受付に寄っていたのだろう」

「夕食前に入浴。夕食の席ではUzさんがカゼで喉と口内が痛い、その上午後ずっと寝ていたので食欲ない、と気の毒な状態ながら、煮魚の身をほぐしてご飯に混ぜ、お茶をかけてなんとか食べていた。食べなきゃ、おいしい、喉痛いけど。同じテーブルの二人の女性は帰宅外泊中だが、一緒に食卓を囲む患者仲間がいるのが食事の励みになっているのだろう。少しはわれわれも役にたっているわけだ」(続く)