人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記208

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(人名はすべて仮名です)
・5月1日(土)晴れ
「梅崎さんの退院、それから入院以来初めての帰宅外泊。朝の会を終えて10時の解錠まで仕度して待ち、コンビニ横のバス停から10時17分のバスに乗る。町田駅までは長い。町田で寄り道せずに小田急線に乗り、下車してまっすぐ駅徒歩一分の老朽自宅マンションへ。線路沿いの桜並木は見事な葉桜になっていた。二か月ぶりの帰宅になるのだ。郵便物やチラシをごっそり取り出して部屋に入り、窓を開ける。入院中にはもう着ない衣類をしまい、チラシを捨て、請求書や通知書を開封する。病院に帰宅到着の電話」

「通帳持って出かけ、残高の半額を引き出す。不動産屋に行き、遅れてすいません、二か月分納めます、と五月・六月分の家賃を納める。その足でデパートに向かい、次女への誕生日プレゼント用おもちゃ券を購入し、バナナとコーヒー牛乳を今日・明日の補助食に買う。ギャラリー・ボニータに行くが店主の加藤さん不在で残念。販売しているオリジナル・ブローチを勝浦くんと二人で滝口さんの退院祝いのプレゼントにしようか、と眺めるが四人くらいの合同プレゼントならともかく二人でプレゼントするには高価すぎて断念」

「駅前スーパーの鍵&靴修理店の店長にあいさつに行く。喜んでくれる。二か月でこんなに変わるものかと思うくらい、目の光から立ち振舞い、滑舌まで見ちがえるほど生き生きしているという。お客さんが一人来た後、もっと話していかないか引き留められたが辞去してくる。ついにひとりきりの時間が来たのだ」

「入院した週から120分3倍速で予約録画してある『天装戦隊テンクウジャー』と『仮面ライダーW』『ハートキャッチプリキュア』を観ながら、冷蔵庫に用意してあった発泡酒を少しずつ飲む。朝の会で抗酒剤を飲んできているからワインはきついだろう。二か月ぶりなので軽い酔いに入るのは早く、意識すると多少の動悸を最初は感じ、大腿やふくらはぎに少し火照りとかゆみを感じたが、すぐ治まる。ビデオ半分観て早目の夕食を駅前の中華チェーンで食べ、服薬して宵寝。二時間ほど眠って起きだし、発泡酒を飲みながら夜更かしのアニメ観賞を楽しむ。夜食はスパゲッティ。明日には病院に戻るのだと思うと、限られた時間の自由がいっそう染みる。明日は飲んで戻るわけにはいかないから、今夜限りだ。発泡酒なら残らないだろう」