人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(35)

 飲む・打つ・買うは当たり前の猛者どもが普段の客層なのはミッフィーちゃんのお店もハローキティのお店も事情は変わりませんでした。当然ミッフィーちゃんのディヴィジョン♯1もハローキティのディヴィジョン♯2もそれに見あったサーヴィスを提供していました。慰安施設、しかも戦地派遣といえば、いつの時代も売防法特区と決まっています。
 波のある売り上げに較べれば優遇された固定給(軍務の上に年金の加算も込み、従軍中は保険も負担されています)につられてミッフィーちゃんもハローキティも仲間を呼び寄せて酌婦となりましたが、仲間にはアイドルユニットみたいなものだから、と大嘘をついて引き込んだのでした。こうさぎ・こねことはいえ、友だちを騙してまで水商売に引きこんでいいのでしょうか、というと水商売を悪く言うようですが、問題は水商売だからではなく嘘勧誘したことにあります。もっともアイドルユニットだって広義の水商売ではありますし、キャバクラのショータイムなどを思えば水商売の方こそアイドルユニットの生みの親だと理屈はこねられないでもなく、それにミッフィーちゃんやハローキティの行くところミッフィー組、キティ組の構成員(と言うとヤクザみたいで怖いですが)は着いてこないわけにはいきません。
 そこで飲む・打つ・買うが目当てのお客さんを接客するわけですが、飲むのは客のおごりですから店の女の子は高いカクテルを頼んで、実はただのノン・アルコールのジュースをがぶかぶ飲んで売り上げを上げていました。打つ方は店内ではまずいので、バイヤーさんとお客さんは外で取り引きしてもらいます。買うというのについては、買うのはお客さんでお店は売る側です。売防法特区なのは休戦中とはいえ、ここは戦地には違いないからです。一応それなりに法的な抜け穴はあり、動物とは器物扱いですからたとえばスヌーピーを絞殺しても刑事罰では損壊罪・賠償金5ドルで済み、チャーリーが精神的苦痛の賠償を求めるには民事訴訟を起こさねばなりません。
 スヌーピーは別として、売る方はミッフィーやキティ自身は相手になれないので、電話一本で飛んでくる人間のアルバイトを多数抱えておりました。いわゆる女衒の役どころです。しかし彼女ら自身はそれに十分納得していませんでした。自分たちはなぜもっとセクシーと言われないのか、ミッフィーもキティも不満でした。そんなところまで二人は似ておりました。