何てことだ、とカッパはサルと顔を見合わせると、揃って地団駄を踏みました。イヌもワンテンポ遅れて踏みました。あんたたち結局グルだったんですか、いったい僕らを何だと思っているんです?
グルというのは良くない言い方ね、とおねいさんのロリーナが答えました、それを言うならキャッチ&リリースと言ってほしいわね。それに踊らされているのはあなたたちだけなんじゃないわ、私たちだって好きでこんなことやっているわけじゃないのよ。
ウサギがそでをまくって腕時計を見て、そろそろ結論を出そうじゃないか、と言いました。結論て何ですか?君たちがどちらの国に属しているかだよ。
それじゃまるであんたたちが両国の代表みたいだ、とサルが文句をつけました、僕らから見ればあんたたちこそ……。
どちらも外国人というのかね?とドジソン先生、だが人は親と国籍は選べないで生まれてくるものじゃないかね?
それは今年死んだら来年は死なないで済むのと同じ理屈です、とカッパ、こんなキャッチ&リリースがありますか?
早く終わらせちゃいましょうよ、とアリスが冷たく言いました。そうだね、とドジソン先生、それでどうするね?
この国らしいやり方でやりましょ、とロリーナがスマホを片手に言いました、この国では生き物の所有者を決するためにちょっとした力較べをするの。綱引きの要領で左右の腕を引っ張り合うのよ。それで獲物が苦痛のあまり死にそうになっても手を離さなかった方が勝ち。
死ななかったら?とアリス。
死ぬまでやるのよ、とロリーナ。
僕たち3人いますけど、とサル、順々にやっていくんですか?
それも面倒そうね、とロリーナ、3人いっぺんに済ませる良い方法はないかしら?
手をつながせよう、とウサギが言いました、左右のバランスもあるから、真ん中に小さいの(とイヌを見て)を置き、左右に大きいの(とカッパとサルを見て)を分ければいい。
案外僕ら助かるかもしれないぞ、とサルはこっそりささやきました、引っ張り合いがきつくなったら、真ん中のお前が両手を離せば綱引きが弾けて、どさくさ紛れに逃げるチャンスもあるかもしれん。
3匹はイヌを間に、カッパとサルを左右にして並ばせられました。手をつないで、とロリーナ。男同士で手をつなぐのも気色悪いですわ、とサルが軽口を叩きました。
そうね、とアリスが目配せすると、ウサギが3匹の腕をロープで縛り始めたのです。
第4章完。