人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

fh'ana - 青空のラプソディ; MUSIC VIDEO (Lantis, 2017)

(アーティスト版ジャケット)

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fh'ana - 青空のラプソディ / MUSIC VIDEO (Lantis, 2017) : https://youtu.be/maKok2RItxM - 4:38

 fh'ana(正確な表記は「fhana」の3文字目のaの上にアクセント記号がついた綴りですが、ブログの標準書体では英語が基準で他のヨーロッパ系言語のアクセント記号は文字化けしてしまうので引用符で代用しました)は「ファナ」と読み、2013年8月のシングル「ケセラセラ」でメジャーデビュー、同シングルはアニメ『有頂天家族』のEDテーマで、2017年4月の11枚目の最新シングル「ムーンリバー」(『有頂天家族2』EDテーマ)までシングル曲はアニメOPまたはED主題歌、アルバムはフルアルバムに2015年2月4日発売の『Outside of Melancholy』(オリコン8位)、2016年4月27日発売の『What a Wonderful World Line』(オリコン22位)の2作、ミニアルバムに2012年5月18日発売の『New World Line』(自主制作盤)、2014年5月28日配信のみで『New World Line』に追加音源を収録した『View from New World Line』、2014年12月24日発売のテレビアニメ『天体のメソッド』イメージアルバム『ソナタとインターリュード』の3作があり、アルバムからも採用されているのでアニメ使用曲はデビュー以来の4年間弱で16曲、ほぼ毎期に及びます。
 2013年夏アニメ(7月-9月)以来現在まで2014年夏アニメ季にタイアップがなかった以外は現在まで毎回アニメOPまたはEDにブランクなしに採用されており、ライヴ回数は年間5~6回のスタジオ・グループで、編成もヴォーカル(towana)、キーボード(佐藤純一、作曲、サウンド・プロデュース、リーダー)、yuxuki waga(ギター、サウンド・プロデュース)、kevin mitsunaga(サンプラーサウンド・プロデュース)とベース、ドラムスはもとよりコーラス、SE、ストリングス、ホーンなどもプログラミングなのですが、シングル・リリースごとにミュージック・ヴィデオを制作しておりヴィジュアル的な魅力もあるグループです。当初はヴォーカルは固定メンバーを置かない予定でしたがtowanaさんとレコーディングしたらそのまま正式メンバーに決定してしまったというのもうなずけるほどfh'anaの魅力はtowanaのヴォーカル、佐藤純一の作曲に負う面が大きいでしょう。fh'anaのオリジナル曲はポップですが難易度は非常に高く、towanaさんは器楽的になりすぎずに難なくそれを歌いこなしています。

(『小林さんちのメイドラゴン』アニメ版ジャケット/Animation OP Version : https://youtu.be/Nh0npDUDpx0)

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 最近のアニメ主題歌はアーティスト版ジャケットとアニメ版ジャケットの2種類出たりして、しかもカップリング曲が別の新曲だったりするのが困りものですが、「青空のラプソディ」は2017年冬アニメ(1月~3月)の『小林さんちのメイドラゴン』のOPテーマ曲になりました。アニメは同名コミックスからのアニメ化で、一人暮らしの隠れオタクOL小林さんのマンションに魔界のドラゴン少女(実年齢は数百歳)が転がり込んでメイドに扮して人間と接していく、他のヘンな魔界のドラゴンたちも次第に町に越してきて人間になりすまし珍妙なギャップが描かれるという『オバケのQ太郎』みたいなギャグ作品ですが、fh'anaの主題がうまくマッチしていて不作の2017年冬アニメの中では数少ない楽しいアニメでした。
 今回のミュージック・クリップはtowanaさんがメイド喫茶のメイド、メンバーが客というぬるい設定と見せかけて、リップシンクとはいえtowanaさんの見事なダンス・パフォーマンスが見所で、さらにカメラはカット割りをせず長回しのまま寄ったり引いたりするだけで延々メンバーの曲にシンクロしたアクションを追っていきます。たぶん同じフレームで中断なしの1カットのままに見えるようにつないだな、と思える箇所もありますが、エンディング1分間は各メンバーや全景をシンプルながらカット割りして追っていくも、ほぼ3分40秒前後までは1カットを意図したコンテで映像が続いていきます(まず間違いなく扉の向こうに消えて再び出てくると楽器の位置につく箇所では編集がありますが)。約3分半1カットの長回しは映画でもめったになくインパクト重視のミュージック・ヴィデオではむしろコマーシャル以上に短く瞬間的なカットを短時間に詰め込むのが一般的なので、楽曲とヴォーカル、パフォーマンスの良さもさることながら映像的に面白いな、と思って取り上げました。いつもの記事と趣向が違いますが、お楽しみいただけたでしょうか。