Recorded by Tommy Hunter at the Choreographer's Workshop, New York (the Arkestra's rehearsal space) in 1962.Side B possibly recorded in 1972.
Released by El Saturn Records - ES752, 1975
(Side A)
A1. What's New? (J.Burke, B.Haggart) : https://youtu.be/m0EkstjVogo - 6:55
A2. Wanderlust (Sun Ra) - no links
A3. Jukin' (Sun Ra) - no links
A4. Autumn In New York (Vernon Duke) : https://youtu.be/NxYFstZM_C4 - 7:02
(Side B)
B1. We Roam The Cosmos : https://youtu.be/psvO0AIF3iA - 10:36
[ The Sun Ra Arkestra ]
Sun Ra - piano
Walter Miller - trumpet
John Gilmore - tenor saxophone
Ronnin Boykins - bass
Clifford Jarvis or Lex Humphries - drums
and the others
ついにこの日が来た、というかよくここまで持ったなと言うべきでしょうか。この位置でいいのか座りが悪いですが(後述)、次作『When Sun Comes Out』 (Saturn, rec.1963/rel.1963)が1963年録音で統一されているからA面が1962年録音とされる本作は録音順でサン・ラの17作目に当たります。17作目にしてようやく全曲リンクを引けないアルバムが登場したわけです。それはこのアルバムは初版の収録曲を復刻したCD化がされていないからで、筆者も盤起こし(LPレコードからのコピー盤)のUnofficial CDでしか知りません。A面はサン・ラのオリジナル2曲をスタンダード2曲が挟んだ構成で、前年録音のニューヨーク進出第1作『Bad and Beautiful』と似た構成ですが、ニューヨーク進出第4作の本作では1年の間に楽曲もバンドも格段にタイトな作風になっています。
問題は2点あり、アルバム発表が1975年と遅れすぎたためにB面(全1曲)は推定録音年1972年のテイクが強引にカップリングされています。これがアルバム順の座りの悪い理由です。なぜ推定1972年かというとこのB面曲「We Roam The Cosmos」は、1972年10月録音のアルバム『Space is the Place』(サン・ラ主演の同名映画のための新曲をアルバム用に再録音したアルバム)のA面全面を占めるタイトル曲(そちらは21分14秒あります)と異名同曲で、同アルバムはメジャー傘下のブルー・サム・レコーズから1973年に発売されていますからサターン盤では改題したと思われます。演奏や録音状態からもこちらの「We Roam The Cosmos」は練習テイクで、演奏時間も「Space is the Place」の半分だから本番テイクとは思えません。こういう半端な演奏を収録したせいでサターン・レコーズには『What's New ?』の異版もあります。それが次にご紹介する「Hybrid Version」と呼ばれる同年1975年発売のもので、収録曲に違いがあるばかりか、本来この選曲がアルバムとして予定されていたと思われるものです。
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Recorded by Tommy Hunter at the Choreographer's Workshop, New York (the Arkestra's rehearsal space) in 1962.
Released by El Saturn Records - ESR 752 / 529, 1975
This is a hybrid version of "What`s New ?" that has the original B side replaced with side A of "The Invisible Shield"(Saturn, 1974). It`s more common than the original version.
(Side A)
A1. What's New? (J.Burke, B.Haggart) : https://youtu.be/m0EkstjVogo - 6:55
A2. Wanderlust (Sun Ra) - 5:53 *no links
A3. Jukin' (Sun Ra) - 2:25 *no links
A4. Autumn In New York (Vernon Duke) : https://youtu.be/NxYFstZM_C4 - 7:02
(Side B)
B1. State Street (Sun Ra) : https://youtu.be/tc_t8lxubPs - 3:49
B2. Sometimes I'm Happy (I.Caesar, V. Youmans) : https://youtu.be/zitlM8qqXSY - 6:37
B3. Time After Time (Stereo) (Jule Styne, Sammy Cahn) : https://youtu.be/PjaYI_eIJ9g - 3:36
B4. Time After Time (Mono) (Jule Styne, Sammy Cahn) - no links
B5. Easy To Love (Cole Porter) : https://youtu.be/o3OWiH_Ddb4 - 3:36
B6. Sunny Side Up (Buddy De Sylvia) : https://youtu.be/GcpV_hZ4E8g - 3:39
[ The Sun Ra Arkestra ]
Sun Ra - piano
Walter Miller - trumpet
John Gilmore - tenor saxophone
Ronnin Boykins - bass
Clifford Jarvis or Lex Humphries - drums
and the others
ご覧の通りジャケット違いで、アルバムのA面は先の『What's New ?』と同じ選曲ですがB面はB1のみサン・ラのオリジナルでB2以降はスタンダード4曲・5テイクが並び、1962年録音で統一されたアルバムになりました。となると一見先の『What's New ?』の改訂版かと思われますが、実際はどちらが先か、または同時発売か判然としないようです。つまりこちらの全曲1962年録音版が本来の『What's New ?』の選曲で、B面を1972年録音に差し替えた方が前出の作品が後の可能性も大きく、意図的にかプレスミスかで(ジャケットにもレーベルにも曲目の記載がない)両方が同時に出回ってしまった、というサン・ラならでは、手売りレーベルのサターン・レコーズならではの事態になったとも考えられます。
意図的に、という可能性があるのは、実は1962年録音統一版のB面は『What's New ?』1975発売の前年、1974年に初版が出た『The Invisible Sheild』ですでに発売されていたからでした。つまり『What's New (Sub Undergound Series) / The Invisible Shield Hybrid Version』は無印『What's New ?』A面をA面に、後述の『The Invisible Sheild』A面をB面に配したアルバムなのです。今回は異例の3枚紹介なのはそういう事情で、次のアルバムがその『The Invisible Shield』です。これが輪をかけてややこしいアルバムで、いずれまた取り上げなければならないのですが、一応ご紹介しないわけにはいきません。理由は後述いたします。
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Credited as Recorded in 1962 (Side A), 1970 (Side B) but possibly 1970 & 1973 (Side B)
Released by Saturn Research - 144000, El Saturn Records - 529, 1974/1977
Reissued as "Janus", "A Tonal View of Times Tomorrow, Vol. 2", "Satellites are Outerspace", Side A replaced 1969-1970 materials.
(Side A)
A1. State Street (Sun Ra) : https://youtu.be/tc_t8lxubPs - 3:49
A2. Sometimes I'm Happy (I.Caesar, V. Youmans) : https://youtu.be/zitlM8qqXSY - 6:37
A3. Time After Time (Jule Styne, Sammy Cahn) : https://youtu.be/PjaYI_eIJ9g - 3:36
A4. Time After Time (Jule Styne, Sammy Cahn) *no links
A5. Easy To Love (Cole Porter) : https://youtu.be/o3OWiH_Ddb4 - 3:36
A6. Sunny Side Up (Buddy De Sylvia) : https://youtu.be/GcpV_hZ4E8g - 3:39
(Side B)
B1. Island In The Sun (Sun Ra) : https://youtu.be/JKxyz_ZY-vQ - 5:27
B2. The Invisible Shield (Sun Ra) : https://youtu.be/8VAhOB-hgq4 - 12:44
B3. Janus (Sun Ra) https://youtu.be/U4YYNsSzWVA - 7:22
[ Sun Ra and his Intergalactic Research Arkestra ]
Personnel incredited.
これがジャケットのない(業務用の無印刷ジャケットに入れただけの)1974年発売の『The Invisible Sheild』になります。ジャケット印刷もクレジット・シートもないので曲目と「Sun Ra and his Intergalactic Research Arkestra」名義、レコード番号の記載だけでメンバーも録音データもわからず、A面は『What's New ? (Sub Undergound Series) / The Invisible Shield Hybrid Version』(ハイブリッド版と呼ぶ由来はA面62年＋B面72年版『What's New ?』A面と『The Invisible Sheild』A面よりなることから)のB面に収録されるまで1962年録音と判明しませんでした。公式クレジットの1962年はそのデータに基づき、これはハイブリッド版の存在からもミスではないでしょう。
問題はB面で、1977年に『Janus』として本作B面はそのまま、A面は差し替えの再発盤が出た時に丸ごと1970録音とされました(本作を録音順では『Janus』版で再度ご紹介する要がある理由です)。データはそれに基づきますがこれが信用おけないらしく、マニアの研究では『Janus』で新登場のA面は1969年～1970年、B面(『The Invisible Sheild』B面と同じ)は1970年と1973年セッションからの曲ではないか、という説が有力とされます。さらにこのアルバムは『A Tonal View of Times Tomorrow, Vol. 2』『Satellites are Outerspace』と改題した異版もあるらしく、筆者も『The Invisible Sheild』『Janus』までは揃えましたが『A Total View～』『Satellites are～』までは持っていません。サン・ラの歿後発表アルバムには2007年～2008年に『The Lost Reel Collection』と題して「Volume 1」から「5」まで1970年～1974年の5年分の未発表録音をCD8枚にまとめてリリースしたものがあるので『A Total View～』や『Satellites are～』の差し替え曲は別題でそこに含まれているかもしれません。しかしこれほど大量にサン・ラを聴くと、セッション単位はともかくとしてよほどの必殺曲以外1曲単位では区別がつかなくなってくるのです。結局アルバム『What's New ?』は1962年録音で統一した1975年版『What's New ? (Sub Undergound Series) / The Invisible Shield Hybrid Version』を基準とし、B面が1972年録音で混乱を招いた1975年版『What's New ?』と1974年に先行発売されて混乱を招く原因となったやはりB面が'70年代録音曲の『Invisible Shield』は本来の『What's New ?』の改訂版と見た方が良さそうです。今回は演奏内容についてはほとんど触れないご紹介になってしまいましたが、1963年度に入った次作『When Sun Comes Out』は傑作連発期の到来を告げる1961年～1962年録音の前々作『Art Forms of Dimensions Tomorrow』、前作『Secrets of the Sun』からさらにテンションの高い、圧倒的なパワーがみなぎる名盤で、録音順18作目にして完成から即発売されたアルバムでは『Jazz by Sun Ra』1957、『Super-Sonic Jazz』1957、『Jazz in Silhouette』1959、『The Futuristic Sounds of Sun Ra』1961に次ぐ第5作になった自信作でもあります。次回をご期待ください。『Art Forms～』や『Secrets of～』を差し置いて『When Sun Comes Out』まで熟成を待ったサン・ラのすごみがわかります。
