人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

クラフトワーク Kraftwerk - エレクトリック・カフェ/ザ・ミックス Electric Cafe / The Mix (EMI, 1986/1991)

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クラフトワーク Kraftwerk - エレクトリック・カフェ Electric Cafe (EMI, 1986) Full Album : https://youtu.be/XgSGt1zP2sE
Kraftwerk - Electric Cafe (Kling Klang, 1986) Full Album + 12 Bonus Tracks : https://youtu.be/s9tctaupuhw
Recorded at Kling Klang Studio, Dusseldorf, Germany, 1982-1986
Released by EMI ‎Records 1C 064 24 0644 1, November 10, 1986
Produced by Ralf Hutter, Florian Schneider & Karl Bartos
All Lyrics & Composed by Ralf Hutter, Florian Schneider & Karl Bartos expect A2, A3 by Hutter, Schneider, Bartos & Emil Schult, B3 by Hutter, Schneider, Bartos & Maxime Schmitt
(Side One)
A1. Boing Boom Tschak - 2:57
A2. Techno Pop - 7:42
A3. Musique Non-Stop - 5:45
(Side Two)
B1. The Telephone Call (Der Telefon-Anruf) - 8:03
B2. Sex Object (Sex Objekt) - 6:51
B3. Electric Cafe - 4:20
[ Kraftwerk ]
Ralf Hutter - voice, vocoder, keyboards, electronics, mixing engineer
Florian Schneider - vocoder, speech synthesis
Karl Bartos - electronic percussion (and voice on "The Telephone Call")

(Original EMI "Electric Cafe" LP Liner Cover & Side One/Two Label)

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 クラフトワークは'83年にニュー・アルバム『Technopop』の発売予定を発表し、先行シングル「Tour de France」をリリースしましたがアルバムの完成は難航し、結局「Tour de France」を含まない新作アルバム『エレクトリック・カフェ (Electric Cafe)』が発売されたのは'86年11月になってからでした。クラフトワークの次作は全曲がこれまでの代表曲の最新再録音による1991年の『The Mix』になり、「Tour de France」を含むアルバムは2003年の『Tour de France Soundtrack』でようやく完成します。クラフトワークは2009年に『Autobahn』'74から『The Mix』『Tour de France Soundtrack』にいたるスタジオ・アルバム(つまり初期3作は含まず)をリマスタリングし、ボックス・セットとアルバム単品分売のインターナショナル版(英語版)・ドイツ語版両方の『The Catalogue』としてリリースしますが、その際に本作は『Techno Pop』と改題されました。ジャケットでは4人写っているものの前作『Computer World』'81からはウォルフガング・フリューアはツアーのみのライヴ・メンバーになり、その兆しはフリューアとともにエレクトリック・パーカッション担当だったカール・バルトスがラルフ・ヒュッター、フローリアン・シュナイダーとともに全曲の共作者クレジットされた『The Man-Machine』'78から表れていましたが、本作ではついにヒュッター&シュナイダーとともにプロデュースにも名前を連ねることになります。当時はそれが明らかにされなかったので、『The Catalogue』でミュージシャン・クレジットが表記し直された時にようやく『Computer World』と本作、次作のリメイク・アルバム『The Mix』はヒュッター&シュナイダーにバルトスの3人でレコーディングされ、フリューアの参加はヴィジュアル・モデルとツアー・メンバーとしてのみだったことが判明します。確かに3人では絵になりません。
 5年ぶりの新作になった『Electric Cafe』はひさしぶりにコンセプト・アルバムではない作品になり、アメリカのダンス・チャートでシングル「Music Non Stop」が1位になる成功作になりました。クラフトワークは次作『The Mix』で『Autobahn』以後の代表曲を最新機材と新規アレンジで再レコーディングし、『The Man-Machine』以降の研ぎすまされたアレンジ力で、さらに16ビートに細分化したリズム・パターンに全曲を統一し、単なる再録音ベスト・アルバムではない強力なアルバムに仕上げます。プロモーションのキー・ヴィジュアルには手足を機械化したメンバー4人のマネキン人形が使われ、ツアー機材ではメンバー4人がノート・パソコンのみで演奏を行うようになります。その後カール・バルトスもメンバーから抜けた後はエレクトリック・パーカッション担当メンバー2人を交代させて17年ぶりのアルバム『Tour de France Soundtrack』2003の発表までヒュッター&シュナイダーを中心に続いていたクラフトワークですが、『The Catalogue』2009発売を機にオリジナル・メンバーのフローリアン・シュナイダーが脱退、ラルフ・ヒュッターはクラフトワークの活動を引き継いで2017年には新規アレンジによるライヴ・アルバム『3-D Catalogue』をリリースしています。『The Mix』はバルトスの脱退を承けたヒュッターとシュナイダーによるそれまでの(『Autobahn』以降の)クラフトワークの総括というべきアルバムで、クラフトワークのような種類の音楽であればこうした最新機材によるリメイクも納得のいく作品です。クラフトワークからどれか1枚、と言えば『The Mix』を上げるのもありでしょう。連続してクラフトワークのアルバムをご紹介してきましたが、『The Mix』までご紹介すれば一応のご案内にはなったかと思います。ヒュッターかシュナイダーのどちらかが抜ければクラフトワークは解散と思われていただけにヒュッターがのれんを守った現在のクラフトワークは意外な気もしますが、シュナイダーとしても円満な関係でヒュッターに託したようですし、それもありかなとも思えます。

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クラフトワーク Kraftwerk - ザ・ミックス The Mix (EMI, 1991) Full Album : http://www.youtube.com/playlist?list=PL863AAC08F561F48A
Released by EMI ‎Records EM 1408, EMI - 79 6671 1, June 10, 1991
Produced by Ralf Hutter & Florian Schneider
(Side A)
A1. The Robots - 8:56
A2. Computer Love - 6:35
(Side B)
B1. Pocket Calculator - 4:32
B2. Dentaku - 3:27
B3. Autobahn - 9:27
(Side C)
C1. Radioactivity - 6:53
C2. Trans Europe Express - 3:20
C3. Abzug - 2:18
C4. Metal On Metal - 4:58
(Side D)
D1. Home Computer - 8:02
D2. Music Non Stop - 6:38