ジャン・ギャバンは第二次世界大戦のドイツ軍のフランス侵攻から逃れて'41年にはアメリカに渡り、ハリウッドに迎えられました。イギリス経由でアメリカに亡命したルネ・クレールを始めジャン・ルノワール、ジュリアン・デュヴィヴィエら多くの映画人が親ドイツ派のヴィシー政権成立後フランスを離れており、今回取り上げるマルセル・カルネ監督作『陽は昇る』'39もヴィシー政権の映画条令で翌'40年には上映禁止処分にされた作品です。今回ご紹介するギャバン出演作第30作『陽は昇る』、第31作『曳き船』はフランス映画ですが、『曳き船』が戦後帰国するまで最後の戦前(戦中)のギャバンのフランス映画出演作になり、第32作『夜霧の港』はギャバン主演のハリウッド映画第1作になりました。今回の3作中『夜霧の港』以外の2作は日本劇場未公開で、一見どれも地味ながら、それぞれ話題性がある作品です。なお今回も作品紹介はDVDジャケットの作品解説の引用に原題、公開年月日を添えるに留めました。
●4月16日(月)
『陽は昇る』Le jour se leve
89分 モノクロ 1939年6月17日(仏)/日本未公開
監督 : マルセル・カルネ
出演 : ジャクリーヌ・ローラン、アルレッティ
嫉妬心から殺人を犯した男が、警察に包囲された状況の中で、過去を回想しながら、自ら命を絶つまでを描いた作品。『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネの抑制の利いた演出が物語に現実感を与えている。
冒頭、アパートの階上の部屋から呻きながら中年男がよろよろと出てきて、派手に階下まで内階段を転げ落ちます。黒眼鏡に白い杖の盲人の住人が通りかかって「どなたかね……人が死んでるぞ!」と叫ぶ。野次馬が集まり警官が階上の部屋のドアをノックし「警察だ、開けろ!」「帰れ!」そして室内で悶々としているギャバンが映ります。被害者の中年男はヴァレンティン(ジュール・ベリー)、ギャバンの役名はフランソワです。本作は英米では非常に評価が高く、英語版ウィキペディアではカルネ=プレヴェール作品では『天井桟敷の人々』'44と並ぶ傑作とされており、イギリスの「キネマ旬報」というべき老舗映画専門誌「Sight and Sound」誌が1952年から10年ごとに実施している批評家・監督らによる世界映画ベストテン(最新の2012年度の投票結果は以前ご紹介しました)では第1回の1952年に行われたベストテンで7位に選出されています。しかし本作は不運な作品で、公開翌年の'40年には親ドイツ派のヴィシー政権の映画条令で上映禁止処分にされたばかりか、'47年にはアメリカのRKOピクチャーズが本作の原盤権と配給権を買ったのは良いのですが同社は本作をアナトール・リトヴァク監督、ヘンリー・フォンダ主演の『朝はまだ来ない (Long Night)』にリメイク、本作のオリジナル・ネガと回収した上映用プリントをすべて焼却処分しました。RKOの回収から洩れた『陽は昇る』のプリントが発見され再び上映されるようになったのは'50年代末のことで、「Sight and Sound」誌の1952年世界映画ベストテンに投票した批評家・監督はRKOによるフィルム廃棄の'47年以前に観た記憶から票を投じたのであり、'52年当時は本作は観ることのできない幻の映画になっていたということです。'37年~'45年のギャバン主演映画は日本では戦後ようやく昭和21年('46年)から輸入公開可能になりましたが、本作は前記の通りRKOが版権を押さえていたため未公開に終わり、'50年代末に発見されニュー・プリントが作られても公開のタイミングを逃したということになるでしょう。またもしRKOが握りつぶすことがなく戦後早い時期に輸入公開できたとしても、暗い内容から公開が見送られた可能性は高いでしょう。本作はテレビ放映ののち'80年代のホームヴィデオ普及でようやく映像ソフトで日本正式初紹介されることになりました。
映画はフラッシュバックでギャバンが同じフランソワという名前の花屋の店員(ジャクリーヌ・ローラン)と恋に落ちるロマンスと、彼女のパトロンで犬の調教師のナルシストの中年男ヴァレンティン(ジュール・ベリー)との三角関係、一旦はローランに振られベリーの元助手のクラーラ(アルレッティ)とつきあい始めるがローランを忘れられなかった折にベリーが訪ねてきてギャバンに、実はローランは自分の私生児だと教えて再びギャバンがローランに会いに行く、という回想が現在進行形のアパートを取り巻く野次馬や警官の動向、部屋から脱出できないギャバンの様子と平行して語られます。ギャバンは結局さんざんベリー演じるヴァレンティンに翻弄されて屈辱を味わわされて衝動的にヴァレンティンを殺害してしまうのですが、こうして過去と現在を平行話法で描くからには結末はだいたい予想がついてしまうので、ひとしきり殺人にいたるまでを描いて現在に戻るとその後はあっけなく映画は結末を迎えます。シグマ社製作の本作は共同脚本ジャック・プレヴェール、ルノワールの傑作『獣人』も担当していたクルト・クーランの撮影、アレクサンドル・トローネルの美術(本作は特にアパートのセット)、モーリス・ジョベールの音楽とカルネの名作連発時代のスタッフが揃っているのですが、いかんせん当時は斬新だっただろう本作の現在と過去の平行話法が現在ではあまりに技法頼りに見え、肝心のギャバンの衝動的な殺人にいたるまでの不幸な恋の成り行きが散漫で稀薄な内容になっており、嫌な中年男役のジュール・ベリーといいギャバンがローランに振られた腹いせにつきあうアルレッティも好演なのですが、映画の半分はアパートの一室に閉じこもったギャバンが焦燥感を増していく様子なので陰鬱なことおびただしく、技巧家カルネのやってみたかった作品には違いないのでしょうが前作の庶民的グランド・ホテル形式映画『北ホテル』'38で成功したようには斬新な試みが上手くいったとは言えず、「Top Ten Greatest Films」第7位とは過大評価もはなはだしいでしょう。今回で5回目くらいに観直しましたが、他のカルネ作品またはギャバン主演作品と抱き合わせでなく本作だけ観ると不満だらけにしかならないのではないでしょうか。カルネは名手ですがいつもセット撮影ばかりで、本作はそれも息苦しくなってくるのです。参考までに今回の記事末に1952年度~2002年度までの10年ごとの「Sight and Sound」誌の「Top Ten Greatest Films」投票リストを上げます。最新2012年度については以前ご紹介した記事をご覧ください。
●4月17日(火)
『曳き船』Remorques
84分 モノクロ 1941年11月27日(仏)/1946年6月15日(米)/日本未公開
監督 : ジャン・グレミヨン
出演 : マドレーヌ・ルノー
救難艇として活躍する曳き船サイクロン号の船長アンドレは、仕事と妻一筋の生活を送っていた。ある時、遭難船ミルバ号を救出するが、乗船していたミルバ号の船長の妻カトリーヌと惹かれ合ってしまう……。
前々回ご紹介した『愛慾』'37の鬼才ジャン・グレミヨン監督の本作は、港に立った看板の「子猫岬」の文字から始まり、部下の結婚式に参列している曳き船(タグ・ボート)サイクロン号の船長ギャバンと妻(マドレーヌ・ルノー)に場面は移ります。結婚式もお開きになる早々にギャバンは部下たちともども急な仕事に呼び出されるのですが、ここで曳き船という馴染みのない仕事の様子が描き出されます。曳き船(タグ・ボート)というのは遊覧船や客船、貨物船とは全然違う性質の仕事をする船で、いわば民間の救助船で、悪天候や座礁で入港できなくなっている船に駆けつけて港まで引っ張ってくる。船が駄目なら船員たちや重要な荷物だけでも助けてくる。成功報酬しか払われないので失敗したら無駄骨なばかりか命の危険までかかっている仕事で、民間ですから同じ港や岬で長く仕事をすることもあれば季節によって遠い港や岬に出向もする。「救助は立派な仕事よ」と助けた船の船長の妻(ミシェル・モルガン)に言われてにギャバンが「ただの悲劇の後始末さ!」と返すように、船客や船員は何とか助けても船は大破して残骸の中から貨物を回収し、それでも成功報酬の全額が払ってもらえる保証はない。当然誰もが仕事にも報酬にも不満を抱いていて、船が大破してしまったような時には依頼者の相手の船員たちからも感謝すらされない。映画の前半はそういう散々な仕事を克明に描いています。モルガンはギャバンに礼を言いに訪ねてきますが、遭難した時にミルバ号船長の夫がミルバ号とサイクロン号の綱を切って船と船員を見捨ててボートで脱出する決断をしたので夫に愛想をつかしています。ギャバンの部下の妻は夫の仕事に嫌気がさして家出し、ミルバ号の一件でギャバンは十分な報酬金を支払ってくれない船舶会社に不満をぶちまける。遭難以来夫と別居しているモルガンは再びギャバンを訪ねてくる。海岸を散歩しながらモルガンがヒトデを拾い、淡々と身の上話を交わす場面は本作の白眉で、アパートまでモルガンを送ったギャバンが引き返してきて「悩み、迷い、後悔……男は考え事ばかり。なのに何も話さないのね」そして無言のキスが交わされ、部屋の奥に消えた二人からカメラが窓辺に置かれたヒトデをさりげなく映してこのシーンは終わります。ギャバンは遭難船の知らせを受けるがわざと出遅れて他の曳き船に仕事を譲ってしまう。ギャバンの妻は喜びますがギャバンはひどく不機嫌で、病弱な妻のルノーは大きなショックを受ける。ギャバンはモルガンに会いに行きますが「君を愛してる」「近くにいるからよ」と町を去る決心をしている。そこにギャバンの部下がルノーの重態急変を告げに来ます。ギャバンが急いで去り、帰ろうとするギャバンの部下をモルガンが引き止め「あの人が幸せそうな時はしまっておいて。不幸そうな時は渡してあげて。あの人にはこれでわかるから」とヒトデを渡します。旅支度を終えたモルガン、そしてギャバンとモルガンとの関係に気づいていたと告白して息を引きとった妻を看取り、臨終を受けた教会の追悼コーラスが高まり、遭難船の急報を受けて吹きすさぶ嵐の海に曳き船を出航させるギャバンの姿で映画は終わります。
SEDIFプロダクションとインペリアル・フィルム共同製作の本作は、カルネの『霧の波止場』'38で初共演になったギャバンと新人女優ミシェル・モルガンの組み合わせ(共同脚本もジャック・プレヴェール)を再び引きついで、前回ご紹介したモーリス・グレーズ監督の『珊瑚礁』'40など気の毒ながら比較にならない名作になっています。グレミヨンの再評価もありますが、ひょっとしたらフランス本国では『霧の波止場』以上の作品と目されるようになっているのではないでしょうか。アレクサンドル・トローネルのセットも先にセットありきのようなカルネ作品のようにはなっておらず、ロケを多用した開放感がそのまま港町の寂寥感になって無惨な転落映画『愛慾』の監督が抒情性にかけても見事な手腕を持っていたのを堪能できます。ギャバンとモルガンのぶっきらぼうだからこそ真情あふれる会話はプレヴェール脚本でも最上のもので、本作は'39年7月に撮影が開始されるも大戦勃発で何度もの中断を経て'41年9月にようやく完成したそうですが、当時実生活でも恋愛関係にあったというギャバンとモルガンの別れは本作を残してアメリカに亡命するギャバンの心情が反映したように切なく響きます。アメリカでも戦後公開され好評だったという本作が日本未公開に終わっていたのは内容が地味で暗いからかもしれませんが、『獣人』'38の機関士から本作では船長、『トンネル』'33や『白き処女地』'34のヒロインだったマドレーヌ・ルノーが本作では助演格の本妻でモルガンがメイン・ヒロインというのもギャバンのそれまでのキャリアを総括した観があります。本作は他社から6,000円の価格で日本盤の単品DVD発売がありますが、1,800円の廉価版10枚組DVDボックス『ジャン・ギャバンの世界 第2集』ならこのとっておきの名品に併せて9本もオマケがついてきます。『愛慾』も素晴らしい作品ですがルノワールの『獣人』同様あれははっきり好みを分ける種類の映画でしょう。『曳き船』は渋い作風ながらも男女や年齢を超えて、もっと幅広い観客層に訴求力を持った普遍的な感動のある作品です。本作を観てしまうと『霧の波止場』ですらこれほどの情感にはおよばないのではないかと思えてくるのです。
●4月18日(水)
『夜霧の港』Moontide / La Peniche de l'amour
95分 モノクロ 1942年4月29日(米)/1944年10月25日(仏)/日本公開1947年2月25日
監督 : アーチー・L・メイヨ
出演 : アイダ・ルピノ
カリフォルニアの小さな港で働くフランス人ボボ。ある晩彼は入水自殺しようとしたアンナを助け、港の小屋で結婚生活を始めようとしていた。しかし長年ボボに寄生してきたタイニーが二人の仲を引き裂こうとして……。
ハリウッドに渡ったギャバンのアメリカ映画初主演作は20世紀フォックス社の娯楽映画路線で、ここんとこあのフランス人が毎日来るな、と酒場の客が噂をしていると飼い犬を連れたギャバンが、野宿暮らしとひと目でわかる大荷物を肩に抱えて入ってきます。帰り道は送るから泊めてくれないかと若い女を口説き、駄目よ恋人がいるから、それなら恋人を返せばいいと話しているうちに男登場、「俺の女だ。立て」と男が殴りかかるのをギャバンはするりと避けて一発でのし、「今のうちに逃げろ」「倒れた男を放っとけない」とグラスを持って抱き起こし「女のために戦うとは偉い。一杯飲もう」「ご免だ」出ていく男を女が追うと「お前とも終わりだ」。カウンターについたギャバン、「毎晩ケンカを売られる。何でだろう」「機嫌がいいのは酔った男だけだからさ」と、本作の冒頭は快調で、いかにもアメリカ映画初登場の好漢ギャバンという感じがします。それから散々はしご酒をして酔いつぶれるギャバンが描かれ、翌日、酔いつぶれていた中華料理店の店長に頼みこまれて、前任だったポップ・ケリーという男が強盗にあって絞殺されたばかりの訳ありの住み込み船大工の職についたギャバンは、海に身投げした訳ありの女アンナ(アイダ・ルピノ)を助けて住まわせます。ギャバンには腐れ縁のタイニー(トーマス・ミッチェル)とインテリ医師の友人ナッツィ(クロード・レインズ)がいて、タイニーにはあんな女とは切れろと言われて怒り、ナッツィには放浪者が定住するのは家庭を持った時だと祝福され、一旦はギャバンはルピノに別れを告げて出て行きますが酒場でひっかけた女と飲んでいるうちに結局引き返してきてルピノとの生活を決心し求婚します。映画にはアーヴィング・バーリン作の'25年のスタンダード曲「Remember」のインスト・アレンジが全編にテーマ曲として流れます。ギャバンの留守中にレインズが置き忘れていたポップ・ケリーの名前が書かれた帽子を取りに来てこっそり浜辺で燃やし、一方ミッチェルはやはりギャバンの留守中にルピノを訪ねてきてギャバンと別れろ、ポップ・ケリーを殺したのは泥酔中のギャバンだからお前がいるとギャバンが自由に逃げられない、と迫ります。ルピノにミッチェルが訪ねてきたと知らされたギャバンは俺が酔ってケンカして殺したんだ、ミッチェルはちょくちょく俺から口止め料を稼いでいるから俺が逮捕されるのを防ぎたいんだと打ち明けます。流れから見たところ早々レインズが一見まともそうな不審人物で、ミッチェルは何らかの理由で誤解しているだけ、あるいは意図的にギャバン本人に信じこませて口止め料をせびっているだけと思わせる構成ですからこういう書き方をしても構わないでしょう。ルピノへのミッチェルの脅迫が徐々にしつこくなり始めてからはフィルム・ノワール色(もちろん本場アメリカの)が濃くなり、ギャバンとミッチェルの確執がねっとりと描かれます。
監督が『悪魔スヴェンガリ』'31や『化石の森』'34、『マルクス捕物帖』'46のアーチー・メイヨ(1891-1968)、脚本が『サマラの町で会おう』や『親友ジョーイ』のジョン・オハラとあの『怒りの葡萄』'40、『タバコ・ロード』'41や『飾窓の女』'44、『拳銃王』'50のナナリー・ジョンソンの共作なのも驚きますが、ヒロインがアイダ・ルピノで共演がトーマス・ミッチェルとクロード・レインズ、ジョン・フォードの『四人の息子』'28のカメラマンだったチャールズ・クラークは本作でアカデミー賞撮影賞ノミネート、製作はマーク・ヘリンジャーです。まるでハリウッド映画黄金時代そのものではありませんか。これでフォックス社がしかるべき監督に振ったら本作も映画史に名前だけは残る作品になったかもしれず、実際本作はジャン・ギャバン主演のハリウッド作品として名を残し、また実は本作はメイヨとフリッツ・ラング(ノンクレジット)の共同監督作だったのが判明しています。ラングのハリウッド時代の作品は『激怒』'36から『条理ある疑いの彼方に』'56まで22作ありますが、サミュエル・フラー原案でドン・アメチとジョーン・ベネット主演の戦争特派員もの『Confirm or Deny』'41(日本未公開)と本作『夜霧の港』'42の2作を20世紀フォックス社でどちらも途中まで撮って降板してしまい、ともにアーチー・メイヨ作品として完成され公開されました。しかも本作は『ジャン・ギャバンの世界 第1集』が世界初DVD化になります。コスミック出版は『戦争映画パーフェクトコレクション』でもメイヨ監督・アメチ主演の日本未公開・世界初DVD化作品『四人の息子 (Four Sons)』'40を発売していますからいつ日本未公開・世界初DVDになるメイヨ監督・アメチ主演の『イエスかノーか (Confirm or Deny)』'41を『戦争映画パーフェクトコレクション』に収録発売するか油断できません。何となくスタンバーグの『紐育の波止場』'28を連想させるギャバンとルピノのロマンス映画の本作は、たぶん脚本の変更があってしかもつじつま合わせしなかったのか前半で張った伏線が回収されないままついに終わってしまったり、突然映画の調子が変わるなど、なるほどラングが撮っていたパートとメイヨが追加撮影したパートが混在しているんだな、と裏の事情を知るとなるほどな、と何だか納得いくところがあります。船頭多くして何とやらの喩えがありますが、日本公開時本作はギャバン主演作品なのにいまいちだな、と不評だったと言われますし、現在でもギャバンのファンには凡作扱いされている作品らしいですが、ハリウッド映画のギャバンと思えばこういうごちゃごちゃして景気だけは良い作品もありなのではないでしょうか。まあラングが投げてメイヨが拾った作品ですからとやかく言うような種類の映画ではなく、うまそうにメイヨの作った目玉焼きを食べるギャバンとメイヨの好演をのんびり楽しめばいいのが本作で、それぞれ異なる趣きとは言え息詰まるような『陽は昇る』『曳き船』から続けて観るとほっと息ぬきできるような作品です。
*(後註)
Sight and Sound Top Ten Greatest Films List.
1952
1. Bicycle Thieves (25 mentions)
2. City Lights (19 mentions)
3. The Gold Rush (19 mentions)
4. Battleship Potemkin (16 mentions)
5. Intolerance (12 mentions)
5. Louisiana Story (12 mentions)
7. Greed (11 mentions)
7. Le Jour Se Leve (11 mentions)
7. The Passion of Joan of Arc (11 mentions)
10. Brief Encounter (10 mentions)
10. The Rules of the Game (10 mentions)
10. Le Million (10 mentions)
Closest runners-up: Citizen Kane, La Grande Illusion, and The Grapes of Wrath. (9 mentions apiece)
*
1962
1. Citizen Kane (22 mentions)
2. L'Avventura (20 mentions)
3. The Rules of the Game (19 mentions)
4. Greed (17 mentions)
4. Ugetsu (17 mentions)
6. Battleship Potemkin (16 mentions)
6. Bicycle Thieves (16 mentions)
6. Ivan the Terrible (16 mentions)
9. La Terra Trema (14 mentions)
10. L'Atalante (13 mentions)
Closest runners-up: Hiroshima mon amour, Pather Panchali and Zero for Conduct. (11 mentions apiece)
*
1972
1. Citizen Kane (32 mentions)
2. The Rules of the Game (28 mentions)
3. Battleship Potemkin (16 mentions)
4. 8 1/2 (15 mentions)
5. L'Avventura (12 mentions)
5. Persona (12 mentions)
7. The Passion of Joan of Arc (11 mentions)
8. The General (10 mentions)
8. The Magnificent Ambersons (10 mentions)
10. Ugetsu (9 mentions)
10. Wild Strawberries (9 mentions)
Closest runners-up: The Gold Rush, Hiroshima mon amour, Ikiru, Ivan the Terrible, Pierrot le Fou, and Vertigo. (8 mentions apiece)
*
1982
1. Citizen Kane (45 mentions)
2. The Rules of the Game (31 mentions)
3. Seven Samurai (15 mentions)
3. Singin' in the Rain (15 mentions)
5. 8 1/2 (14 mentions)
6. Battleship Potemkin (13 mentions)
7. L'Avventura (12 mentions)
7. The Magnificent Ambersons (12 mentions)
7. Vertigo (12 mentions)
10. The General (11 mentions)
10. The Searchers (11 mentions)
Closest runners-up: 2001: A Space Odyssey and Andrei Rublev. (10 mentions apiece)
*
1992
1. Citizen Kane (43 mentions)
2. The Rules of the Game (32 mentions)
3. Tokyo Story (22 mentions)
4. Vertigo (18 mentions)
5. The Searchers (17 mentions)
6. L'Atalante (15 mentions)
6. The Passion of Joan of Arc (15 mentions)
6. Pather Panchali (15 mentions)
6. Battleship Potemkin (15 mentions)
10. 2001: A Space Odyssey (14 mentions)
Closest runners-up: Bicycle Thieves and Singin' in the Rain. (10 mentions apiece)
*
2002
1. Citizen Kane (46 mentions)
2. Vertigo (41 mentions)
3. The Rules of the Game (30 mentions)
4. The Godfather and The Godfather Part II (23 mentions)
5. Tokyo Story (22 mentions)
6. 2001: A Space Odyssey (21 mentions)
7. Battleship Potemkin (19 mentions)
7. Sunrise: A Song of Two Humans (19 mentions)
9. 8 1/2 (18 mentions)
10. Singin' in the Rain (17 mentions)
Closest runners-up: Seven Samurai and The Searchers. (15 mentions apiece)