人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

追悼、キース・レヴィン(ex.P.i.L.)

パブリック・イメージ・リミテッドのギタリストであるキース・レヴィンが逝去。享年65歳

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https://nme-jp.com/news/122780/
 パブリック・イメージ・リミテッドのギタリストであるキース・レヴィンが亡くなった。享年65歳だった。 訃報は作家にしてライターのアダム・ハモンドによって発表されており、キース・レヴィンは現地時間11月11日に亡くなったという。
「大きな悲しみと共に近い友人で、伝説的なパブリック・イメージ・リミテッドのギタリストであるキース・レヴィンが11月11日に亡くなりました」とアダム・ハモンドは述べている。 「間違いなくキース・レヴィンは最も革新的で、恐れを知らない、影響を与えたギタリストの1人でした」
 アダム・ハモンドは次のように続けている。「キースは音楽界において新しいパラダイムを作ろうとして、ジョン・ライドンとジャー・ウォブルという意欲的な協力者と共に見事にそれを成し遂げました。パブリック・イメージ・リミテッドのファースト・アルバムの1曲目に収録された“Theme”は9分を超える作品で、オルタナティヴ・ミュージックのあるべき姿を定義することになりました」
「パブリック・イメージ・リミテッドの最も重要な時代を築く手助けをしたのと同様に、キース・レヴィンはミック・ジョーンズと共にザ・クラッシュを結成し、初期のサウンドに大きな影響を与えることとなった。今日、我々が聴いている音楽は、認知されているにせよしないにせよ、キース・レヴィンの作品に依るところが大きいのです」 アダム・ハモンドは次のように締めくくっている。「愛とお悔やみをパートナーのケイト、姉妹のジル、家族と友人に捧げます。世界は彼という才能を失って暗い場所になりました。私の世界も友人を失って暗い場所になりました」

 1970年代初頭にイエスのローディーをやった後、1976年にミック・ジョーンズと共にキース・レヴィンはザ・クラッシュを結成し、当時のバンドであるザ・ワンオーワナーズを抜けてバンドに加入するようにジョー・ストラマーを説得したことで知られている。 キース・レヴィンはザ・クラッシュをレコーディング前に脱退して、セックス・ピストルズの解散後、ジョン・ライドンとパブリック・イメージ・リミテッドを結成している。 1983年にパブリック・イメージ・リミテッドを脱退した後、キース・レヴィンはソロの音源やプロデュースを手掛けている。 訃報を受けて、ジャー・ウォブルは「安らかに、キース・レヴィン」とツイートしている。

 プライマル・スクリームボビー・ギレスピーは回想録『テナメント・キッド(原題)』でキース・レヴィンに書いた部分を抜粋している。「キース・レヴィンの天才的なギターは叫ぶように神経を逆撫でし、ザ・バーズのようなアルペジオがバイカーのようにジャンクなスピードボールと共にスピードを上げ、基準を押し上げる。スージー・アンド・ザ・バンシーズのジョン・マッケイとパブリック・イメージ・リミテッドのキース・レヴィンはロックのギター演奏を再発明した。この2人以降、ギターの弾き方を誰しもが考えざるを得なくなった。これこそが未来だった」
(「NME JAPAN」2022.11.14より)


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 遅ればせながら、キース・レヴィン(Keith Levene, 1957-2022)の冥福をお祈りいたします。レヴィンの経歴はNME JAPANの訃報の通りですが、ボビー・ギレスピーの指摘のようにレヴィンはトム・ヴァーレイン(テレヴィジョン)、アンディ・サマーズ(ポリス)、アンディ・ギル(ギャング・オブ・フォー)、またギレスピーが上げたジョン・マッケイ(過小評価されがちのマッケイを上げたのはギレスピーの慧眼です)と並んで、ポスト・パンク時代のもっとも革新的なロック・ギタリストの一人でした。レヴィンがパブリック・イメージ・リミテッドに在籍していた期間は1978年~1982年、アルバムはP.i.L.の初期5作『Public Image Limited (First Issue)』1978、『Metal Box (Second Edition)』1979、『Paris in the Spring』1980、『Flowers of Romance』1981、『Commercial Zone』(非公式アルバム、1984)きりでしたが、レヴィン21歳から26歳のこの5作でレヴィンの演奏はこの先も長く聴き継がれていくでしょう。『Commercial Zone』はその後P.i.L.ジョン・ライドン側によって非公式アルバムとされ、レヴィン脱退後に収録曲全曲が別メンバーによって公式アルバム『This Is What You Want... This Is What You Get』1984に改作された悲運のアルバムでしたが、P.i.L.側からクレームがつくまではキース・レヴィン自身のインディー・リリースによって正式な新作として迎えられ、渋谷の宇田川町にタワー・レコードがあった時も店頭に堂々と注目の新譜として並び、『Flowers of Romance』以来三年ぶりの新作として、前年にリリースされたレヴィンの抜けた来日公演のライヴ盤『Live in Tokyo』1983より好評を得ていた、P.i.L.最後の傑作と言えるアルバムです。レヴィンへの追悼に、『Metal Box』リリース時のテレビ出演ライヴ映像と、幻の非公式アルバム『Commercial Zone』を上げておきましょう。

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Public Image Limited - Poptones, Carieering (TV Broadcast, The Old Grey Whistle Test, 1980.2.12) : https://youtu.be/JMZFyaI0Wswf:id:hawkrose:20221117142101j:image

Public Image Limited - Commercial Zone (PiL Records Inc., 1984) : https://youtu.be/xRuAX03IoUc
Recorded at Park South Studios, New York, United States, May 1982 – May 1983
Released by PiL Records Inc.(Keith Levene) XYZ-007, January 30, 1984
Produced by Public Image Ltd & Bob Miller
(Side One)
A1. Love Song - 4:27
A2. Mad Max - 4:11
A3. Young Brits - 3:40
A4. Bad Night - 3:29
(Side Two)
B1. The Slab- 3:36
B2. Lou Reed Part I - 3:58
B3. Lou Reed Part II (Where Are You?) - 2:50
B4. Blue Water - 3:30
B5. Miller High Life - 2:38
[ Public Image Limited ]
John Lydon - vocals
Keith Levene - guitar, synthesizers (bass on "Bad Night" and "Lou Reed Part 2")
Pete R. Jones - bass (on "This Is Not A Love Song", "Mad Max", "Solitaire" and "Miller Hi-Life")
Martin Atkins - drums, percussion
Robert E. (Bob) Miller - sound effects (on "Miller Hi-Life")