今回もおなじみのジャケットが並んだ。上からイエス「こわれもの」1972、エマーソン・レイク&パーマー「タルカス」1971、ジェネシス「怪奇幻想骨董箱」1971である。地球にアルマジロに首ホッケーといえばこれらのアルバムを指すことになっている。
このアルマジロは戦車に改造された天下無敵の戦闘サイボーグなんですって。首ホッケーのほうはオルゴールから出てきた生首が寄宿舎の女学生のホッケーのボールにいつの間にか入れ替わっていたそうよ。地球のほうもよく見るとグライダーで大気圏の外だわ。音楽の方もジャケットのイメージ通りだ。プログレというのはどこかゲゲゲの鬼太郎と岡本太郎を足して割ったようなところがある。言葉で説明すると思わずおネエ言葉になってしまうところがあるのだ。
五大バンドと言いながら前回はキング・クリムゾンとピンク・フロイド、今回は残りあと三バンドと分けたのは理由がある。クリムゾンとフロイドが横綱クラスなら、あとの三バンドは大関くらいの差があるのだ。大関とはいえ親方襲名してプログレ部屋は各自持っている。人気の高さもひけをとらない。
それでも格の差があるのは、ピンク・フロイドとキング・クリムゾンがいきなり完成形でデビューしたのを追うかのように音楽性を固めていったのがイエス、ジェネシス、エマーソン・レイク&パーマーだからだ。フロイドとクリムゾンには相互影響はない。また後続のバンドからの逆影響もない。あとの三バンドは、フロイドやクリムゾン(それにもちろんビートルズ、ストーンズ、ビーチボーイズ、バーズ)からの影響を巧く活用して、一家を築いた、といってよい。
ジェネシスなどは影響どころか楽器(メロトロンというアナログ・サンプリング・キーボード)が探しても見つからないので、キング・クリムゾンに楽器を買い取りたいと申し込んだそうだ。追い払われてきたメンバーにかわってリーダーじきじき交渉に行ったら午後のお茶の時間で、雑談しているうちにすっかり気が合い、買い替えてから引き渡すのを条件に交渉成立した。ちなみにクリムゾンもジェネシスもメンバーは財閥の氏族ばかりである。
さきほど影響元としてビートルズ、ストーンズ、ビーチボーイズ、バーズを挙げた。ボブ・ディラン、フーを加えてもよい。五大バンドが基本的にポップなのは、そのせいだ。