人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ラヴィン・スプーンフル

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だいたいが殺伐としたロックの世界の中でラヴィン・スプーンフルの音楽を思うと、胸に暖かい灯がともるようだ。こんなバンドを他にさがしてもいない-とまで言うと誇張になってしまうが、スプーンフルを聴いたことがある人なら唯一無二の存在感を忘れることはないだろう。
彼らはイギリスでも高い人気を誇ったが、とりわけ日本ではプロ・ミュージシャンにも長い影響を与えた。五つの赤い風船RCサクセション、古井戸、チューリップ等はビートルズストーンズ以上にスプーンフルのサウンドを継承している。
ロック史上の位置付けでは、ビートルズに1年先行してビーチ・ボーイズボブ・ディランがデビューし、ビートルズアメリカ市場制圧に乗じてストーンズがデビューし、イギリスのバンドの大量進出(ブリティッシュ・インヴェンションと呼ばれる)に対抗するようにザ・バーズサイモン&ガーファンクル、ママス&パパス等と共にデビューしたのが彼らということになる。ちなみにスプーンフルとママパパはマクワンプスというグループが分裂してできたバンドで、ニューヨーク時代のザ・バーズとも親交があった。当時のレコード業界はニューヨークはジャズとフォーク、ロサンジェルスはジャズとロック、シカゴはジャズとブルースという住み分けがあったのだ。今も住み分けは変わらない。ジャズが落ちぶれただけである。
ここまで列挙したバンドやシンガーのディスコグラフィを見ると(60年代限定)気がつくことがある(ディラン除く)。同時期のイギリスのバンド(アニマルズ、キンクスヤードバーズ、フー)を併せてもいい。どのバンドもビートルズのアルバム発表が牽引になっているのだ。特に「ア・ハード・デイズ・ナイト」1964から「ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)」1968に至る時期はビートルズが革新して他の同時代バンドが応用する、というのがアルバムごとに続いた。
スプーンフルの音楽を紹介しないうちに大半の紙幅を使ってしまった。アルバムは全7作。どれもいいが、基本的にはシングル盤のバンドだったと思うのでベスト盤をお薦めする。評価の高いアルバムは、

●「魔法を信じるかい?」1965
●「デイドリーム」1966
●「ハムズ・オブ・ラヴィン・スプーンフル」1966

以上、図版掲載順に挙げた。暖かな歌と愛らしいメロディの名曲満載です。