人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

チョコレート・ウォッチ・バンド

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ザ・エレクトリック・プルーンズの回で触れたように、アメリカではビートルズの大ブレイクとイギリスのバンドの大量侵出をきっかけに、それまでプロの世界しか門戸が許されていなかったロック・ビジネスはアマチュア・バンドをどんどんデビューさせるようになった。とはいえビジネス的には素人バンドの自主制作で、売れれば会社が儲かり、売れなければバンドが潰れるというシビアなものだったことは言うまでもない。本当に実力のあるバッファロー・スプリングフィールド、ラヴ、ザ・ドアーズなどはビジネス面でもしっかりしたレコード会社との契約を選んだが、ほとんどのバンドは初めて話を持ってきたマイナーなレコード会社と契約し、シングル数枚とアルバム1、2枚を出して一発屋で消えていったのだ。それが60年代アメリカン・ロックの「ガレージ・パンク/ガレージ・サイケ」時代だ。
ザ・チョコレート・ウォッチ・バンドはそのシンボル的バンドだった。65年にサン・ホセの学生バンドとしてブリティッシュ・ビート・グループのコピーから出発。ベスト・メンバーが揃ってサン・フランシスコに進出し、ファースト・アルバムが制作されたが、メンバーの演奏は4曲しかなく、残りはマネジャーの指示でスタジオ・ミュージシャンが「アメリカのピンク・フロイド」風に演奏したものだった。
続くセカンド・アルバムも同様に制作され、リーダーでヴォーカリストのデイヴ・アギラーが脱退する。ようやくサード・アルバムでバンド自身の演奏が録音されるが、バンド当初のワイルドな作風からは変化したものだった。
掲載アルバムは、

●'No Way Out'1967
●'Inner Mystique'1968+'One Step Beyond'1969
●'The Complete Recordings!:Melt In Your Brain...Not On Your Wrist!'2005

2005年の全集はCD2枚組にアルバム3作全曲、シングル曲、未発表曲を44曲も詰め込んだ徳用盤で、さすがに一気に聴くと飽きるが、カヴァー曲や未発表曲の出来の良さに感心する。バンドは今世紀に入って再結成し活動再開(これもプルーンズ同様)、生ける伝説として散発的にライヴを行っていた(残念ながら今年、ベーシストが死去している)。R.I.P.