人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ディラン『オール・アイ~』

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今回も以前紹介した『悲しきベイブ』と同じ「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」1964(写真上)から、その冒頭のナンバー。このアルバムからはザ・バーズが11曲中4曲もカヴァーしている。これもその1曲(アルバム「ミスター・タンバリン・マン」1965/写真下収録)。原題'All I Really Want To Do'。

『オール・アイ・リアリー・ウォント』

きみを競争相手にしようとか
殴ったりからかったり虐げたりはしたくない
きみを単純化しようとか分類しようとか
否定したり無視したり苦しめたりはしたくない
ぼくの望みのすべては
友だちになることなんだから、きみとね。

そう、きみを争い相手にしたり
こわがらせたり固くさせたりはしたくない
きみを転ばせたり押さえつけたり
縛ったり引き回したりはしたくない
ぼくの望みのすべては
友だちになることなんだから、きみとね。

きみの前に立ちふさがったり
驚かしたり叩いたり鍵をかけたりはしたくない
きみを分析したり類別したり
決めつけたり広告したりはしたくない
ぼくの望みのすべては
友だちになることなんだから、きみとね。

きみを無表情にさせたり
走ったり追いかけたり追跡したり尾行したりはしたくない
きみを辱しめたり居られなくしたり
定義したり監禁したりはしたくない
ぼくの望みのすべては
友だちになることなんだから、きみとね。

きみの親戚なんかに会いたくはない
きみを迷わせたりやり込めたりもしたくない
きみを選択したり解剖したり
調査したりはねのけたりはしたくない
ぼくの望みのすべては
友だちになることなんだから、きみとね

きみにはったりをかまそうとしたり
取り上げたり揺さぶったり捨てたりはしたくない
ぼくと同じように感じてほしいとか
見たり存在してほしいんじゃない
ぼくの望みのすべては
友だちになることなんだから、きみとね。
(前記アルバムより)

ディランのラブ・ソングは否定型をたたみかけておいて、最後は一気にシンプルな訴えかけで落とすところに特徴があるようだ。英語表現では一般的に否定は言外の意味を含まない、とされる(日本語の詩では多用される)。この曲など元祖ツンデレ男の面目躍如だろう。