人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

復刻・市島三千雄全詩集(3)

イメージ 1

イメージ 2

●無題(開場の…)

開場の挨拶と共に山の中間につまらないものひらいて
そのくわらっとしたのも後になる
悪い少女は丸いものを上る
其処は転くり返ったのである
自分の所有物の処分に因って居るどころかもう帰ってきた様子を規めている
地球儀全体が秋なのだろうかが箒草の中を入って行って方向を変えて南から北へ出てしまう
帰って来たとにょっこり顔を出す
じゃ無い矢張遠くの陸の上僕に見えない
地図を広げてから街へ行こう
悪い少女はほんとうの晴着をきて立ったのである
山から海岸へ、髪を気にしてくわらっとした明るい庭へ走って行くのは夏季時の悪い少女だった
玉を少女は行って海の飛台は下へ行って秋浪に被りそう
宇宙へ落ちてしまう気
暫くの間海を忘れる
万億の中の一人ぼっちを見る
一面の甘蔗原の中と天を見上げての差違と
それから又オーストラリアへ来てしまった
悪い少女はズボンをはいてぱっつり体で悪い為の労働をする
中央の湖、水溜りを見下して変っているような気がしてならない
日本の岸に見える白い塩水
夜もあり昼もある
日本の蟲卵と蟲卵をくらべる
枝についているのを見ている
明けなのだろうか暮れているのだろうか。
(「新年」1926年10月)

●無題(砂漠に隠れて…)

砂漠に隠れて海動揺無く青いのが水感じない
丘の底の乾き具合い
発生の羽の馬鹿蜻蛉であるが赤
日本海に削られて
小さい時の渚は沖の赤い永遠に当たるんだろう
泡のいっぱいな秋のつめたいの
丘の掘り返すとひびが切れる
すぐ下の聖の鳴き轟きの怒海
青空の薄いのと長く出た赤い燈台の一つを思わせて
幅が狭い海浜に赤蜻蛉の羽上へ下へ動いてばっかりで昔有るおもいの一帯ずうっと
一番早くかすれてしまう海岸線測量地が、
甘地子の真黄ろ、
赤白の棒を持って数十里そうて行って、秋になると測量が始まって
発生の蟲群は陽溜まりに飛行している
赤い季節はぽかぽか暖かくて一面が冷くて
船も転覆してさあっと洗って北極の跡
なぜ砂地一帯無用なのである
大部分の海、
一日をおもわせるひより
認識の目に入った光り
どんどん開けて
思ったより大きい構図であった
砂山の海抜魔山だろう
変じると進み動く。
(「新年」1927年2月)