『アイ・ウォント・ユー』
有罪の葬儀屋は嘆き、
孤独なオルガン弾きは泣き、
銀のサキソフォンはおれにきみを拒めと言う。
ひび割れた鐘と洗いざらしのホルンは
おれの顔に軽蔑を吹きつける
でもおれはそんなふうに
きみを失うために生まれてきたんじゃない
きみがほしい、きみがほしい
きみがたまらなくほしい
ねえ、きみがほしい。
酔っぱらった政治家たちは踊っている、
母親たちがすすり泣く街の上で
そして救世主たちは眠りこんで
きみを待っている。
そしておれはやつらがおれが割れたコップから
おれが飲むのを邪魔して
きみのために門を
開けろと命令するのを待っている
きみがほしい、きみがほしい
きみがたまらなくほしい
ねえ、きみがほしい。
いまやおれの父親たちはみんな死んでしまった
本当の恋人もなしに。
だけどその娘たちはおれをこき下ろすんだ
おれがそのことを考えないからさ。
それじゃスペードの女王のところに帰って
おれの侍女と話でもしようか
彼女はおれがおそれもせずに彼女を
見つめるのを知っている
ここでは彼女に見えないものはないから
おれにはとても良くしてくれる
おれがどこに行きたいかも知っている
だけどそれは大したことじゃない
きみがほしい、きみがほしい
きみがたまらなくほしい
ねえ、きみがほしい。
(前記アルバムより)
形式上は歌詞3連・サビ1回で、曲によっては平気で10番以上ある歌詞を歌うディランとしてはポップスらしいポップスにしたのがわかる。でもこれってラブ・ソングなのか?