こうして並べるとレ・オルメってメジャー・グループだったんだなあ、と前回ボロクソ言ったのを懺悔したくなった。する。オルメは演奏下手です。歌もヘナヘナです。そこが本家EL&Pにはない和み技になってます。楽器編成以外EL&Pと共通点がないのなら、レ・オルメはイタリア独自のオリジナリティを確立したと言ってよいでしょう。
ところが今回の3バンドはあっさりレ・オルメを越えてしまっている。ラッテ・エ・ミエーレ「受難劇」1972(画像1)はマタイ福音書に材を採ったファースト(サードで解散、だが近年復活してライヴ盤、DVDを連発。しぶとい)、メタモルフォッシ「インフェルノ」1973(画像2)はダンテ「神曲地獄編」を描いたトータル・アルバム(セカンドでラスト作だったが、04年に復活して「神曲天国編」を発表した。しぶとい)、あとひとつトリアーデだが「1998:サバツィオの物語」1973(画像3)がリリースされていること以外正体不明のバンド。これも主人公サバツィオの成長を描いたストーリーがあるようで、キーボードに印象派的発想があるのはロックには珍しく、ベーシストがチェロやギターと持ち替えで色彩感を広げている。
この中ではラッテ・エ・ミエーレ「受難劇」がダントツの評価、イタリアのロックでベスト10(5でもいい)クラスの傑作とされているが、普段クラシックで鍛えている人でもないと何が何だか判らないうちに終ってしまうでしょう。最初は日本盤の解説と訳詞を見ながらお聴きください。