人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(18)暗さ一番マウロ・ペローシ

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これまで資料があまりに少ないため紹介できなかったカンタウトーレ(シンガー・ソングライター)を取り上げたい。第七回でご紹介したアラン・ソレンティ(「アリア」1972)、クラウディオ・ロッキ(「魔術飛行1」1971)と並ぶアシッド(サイケデリック)・フォーク歌手ご三家。
ソレンティやロッキはポップスに転向して現役だが、70年代に4枚のアルバムを出して消息を絶っていた男。それがなにやら今でも変なことをしているらしいのに最近やっと気づいた。マウロ・ペローシ(PEROSI,Mauro、1949年生れ)。画像は上から72年、73年、77年、79年発表のアルバムでこれが全作品になる。

LP時代の80年代末に最初の2作が日本発売された。邦題は、
「死に至る季節」(画像1)
「小人市場」(画像2)
で特に第二作が傑作とされる。4年ぶりの第三作、「マウロ・ペローシ」(画像3)
と79年の「猫のしるし」(画像4)
は70年代後半らしいポップ化が見られるが悪くない。悪いのは原盤所有のポリドール(現ユニヴァーサル)で、CDは前期二作が94年に韓国盤で出たきり。本国盤CDは2010年にやっと出たが「プログレッシヴ・イタリア」という6枚組8セットにバラバラに収録されていて単体販売はない。ペローシ全4作のため4セット買わなければならないのだ。

悲痛な歌声と暗いギター弾き語りにメランコリックなバックがつく、というペローシの作風はデビュー作、通称「串刺し」で既に確立し(歌詞も暗い。「死に至る季節」に始まり「自殺」で終る)、次作「小人市場」でピークに達するが、第三作の通称「クマちゃん」の原題がアーティスト名なのはカムバック的(または再デビュー)な意味もあるだろう。4年のブランク、それほど前期二作は売れなかった、ということだ。第四作・通称「砂漠ネコ」は結果的に30歳の引退アルバムとなった。一切の消息もなしに。

ところが現在YouTubeで本人投稿の記録映像ががんがんアップされているのだ。スタジオ・リハーサル(日時不明)や哲学博士号取得式(!?)、それから膨大な8mm映像日記。ほとんどが散歩中の風景で1本2分未満、撮影年月日と場所がきちんと記載され、70年代までさかのぼる。mauropelosiで検索するとずらりと出る。いったいこの人はなにをやっているのだ?