人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

オザンナのベスト・アルバム

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オザンナのような70年代プログレッシヴ・ロックのバンド(しかもイタリア)にベスト・アルバムは難しい。曲が長尺とか作品ごとに作風が異なるとか、これはプログ・ロックに限らず70年代ロック全般に言える。
曲の長尺化はハウス以降・90年代以後のロックには再び珍しくなくなった。トランス=長い方がいい、という実用的な発想からで、60年代~70年代の長尺ロックは90年代以降は劇的に復権することになる。

大手BMGグループでは'70 Degli'(70年代の遺産)という2枚組シリーズでPFMやバンコのベスト・アルバムがリリースされていた。フォニト・チェトラ(国営放送局レーベル)のオザンナはワーナーに権利が移ったらしく、'Le Piu Belle Canzoni Degli'という1枚物シリーズから2008年にリリースされたのが(画像1)LP時代を通じて初のベスト・アルバムかもしれない(第一作「ル・オーモ」1971と第二作「ミラノ・カリブロ9」1972は2in1で今年廉価盤が出た。画像2)。シリーズのタイトルは「あの名曲をもう一度」くらいの意味だろう。2in1と同様1,000円ほどの廉価盤で、実に隔世の感がある。

だかこのベスト盤、60分ながらなかなか良く出来ているのだ。1~3は第一作、4~6は第二作、7・8は第三作で最高傑作「パレポリ」1972(画像3)の旧A面まるごと、9~11は最終作「人生の風景」1974から。通して聴くと第一作から第三作まで昇りつめて、フッと力が抜けたように最終作のアコースティック・ナンバーの寂寥感が広がっていく。
ただしメンバーふたりが制作したウーノのアルバム曲をボーナス・トラックにしたのは失敗だった。ウーノを外して78分一杯収録曲を増してほしかった。

オザンナのメイクは71年のデビュー当時からで、ついでに曲目をあげれば雰囲気は伝わるだろうか。
1.イントロダクツィオーネ/2.ル・オーモ(ある男)/3.裏にまわって/4.テーマ/5.ヴァリアツィオーネ1(肥満漢へ)/6.カンツォーナ(T.S.エリオット「聖灰水曜日」より)/7.熱い時/8.スタンツァ・チッタ(小間奏曲)/9.人生の風景/10.心の中の霧/11.約束の地/12.ポピュラー・ガール(ウーノ)

良心的なベストだと思う。でもイタリア盤なんだよな。