人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(40b)ジミー・ジュフリー(ts,cl)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Jimmy Giuffre(1921-2008,tenor & baritone sax,clarinet)。
前回にジュフリーのロックへの影響力については述べた。ただし白人ロックには、という限定はつく。ジュフリー自身が、トリスターノらと並んで黒人音楽であるジャズを白人の立場から再構成した人だった(ジャズ自体が白人音楽を黒人ミュージシャンが黒人音楽に再構成したものだから、ジャズは黒人と白人のキャッチボールから成り立つと言える)。ロックの始まりは黒人のリズム&ブルースに白人も参入したことから始まった。
だから純粋な黒人ロックの伝統にはジュフリーは影響しない。ジュフリー自身も後年につれ黒人的ジャズから離れていった。

前回はジュフリーの楽歴では前史と言ってよい。ウディ・ハーマン楽団時代の「フォー・ブラザース」だけでもジャズの歴史に残る人だが、モダン・ジャズ・カルテットやデイヴ・ブルーベック・カルテット同様ジミー・ジュフリーは「ジミー・ジュフリー・スリー」というジャズのジャンルを作ってしまった。
このトリオは1956年~62年に9枚のアルバムを残した。ジム・ホール(ギター)を固定メンバーに6作作り、ポール・ブレイ(ピアノ)、スティーヴ・スワロウ(ベース)を固定メンバーに3作残してジュフリーは72年まで沈黙することになる。
今回は最初の3作で、
'The Jimmy Giuffre 3'56.12(画像1)
'Trav'lin' Light'57.12/58.1(画像2)
'The Four Brothers Sound'58.9(画像3)

-になる。いずれもアトランティックより。当時同レーベルはチャールズ・ミンガス、モダン・ジャズ・カルテットなど先鋭的なジャズの傑作を次々とリリースしていた。
キャピタル時代からの改善点はオリジナルとスタンダード(1なら'The Song is You、2ならタイトル曲、3なら'Old Falks')の差が目立たない。1の'Two Kind of Blues''Gotta Dance'など良い意味で曲がシンプルになったこともあるし、ジャズでも前代未聞の変態編成でスカスカなのに魅力的なサウンド空間を作り上げることに成功したからでもある。この編成については次回で解説する。