人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(40d)ジミー・ジュフリー(cl)

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Jimmy Giuffre(1921-2008,tenor & baritone sax,clarinet)。
ボブ・ブルックマイヤー(ヴァルヴ・トロンボーン)とジム・ホール(ギター)、ジュフリー(サックス)という編成は後にジョン・ゾーンが「ニュース・フォー・ルル」87で踏襲するまで誰も模倣者が出なかった。特にギタリストの負担は大きく「おかげで禿げちゃったよ」(ジム・ホール)。ブルックマイヤー在籍前後はトロンボーンではなくベース入りトリオだったことを考えるとこの人の貢献も大きい(2011年12月逝去)。

ジム・ホール入りトリオの最後の2作はレッド・ミッチェル、レイ・ブラウンら超一流ベーシストを迎えて作られたが、やはりベース入りトリオだった第1作ともブルックマイヤー三部作とも違う。曲自体は牧歌的な作風だがアレンジが格段に緊密になっている。59年6月のヨーロッパ・ツアーからローマ公演の映像を見ることができるが(ベースはバディ・クラーク)前回の2から'Princess'、3から'Careful'などを演っており、非常に緊張感が高い。そして冷たい印象を受ける。

ジム・ホール脱退後ジュフリーはオーネット・コールマンの登場に刺激されフリー・ジャズに向かう。それがポール・ブレイ(ピアノ)、スティーヴ・スワロウ(ベース)との三部作で、ジュフリーはクラリネットに専念。順に、
'Fusion'61.3(画像1)
'Theses'61.4(画像2)
'Free Fall'62.7,10,11(画像3)

-で、ヴァーヴから2作、コロンビアから1作になる。内容はオリヴィエ・メシアン(仏)の組曲「世界の終りのための四重奏曲」を思わせる完全な現代音楽になっている。ジム・ホール時代の最後の2作はここに到るまでの過渡期だったのがわかる。
このトリオは完璧で、3作続いたのも納得がいく。だがジュフリーのフリー・ジャズは黒人のフリー・ジャズとはまったく違うものだった。

この新トリオの前に、ジュフリーは'Piece For Clarinet and Orchestra'59.5(画像4)で現代音楽の予習を済ませている。21分の大作'Mobiles'が聴き物。三部作では1は'Emphasis'、2は'Flight'、3は'The Five Ways'が代表曲だろう。