人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(41b)ジェリー・マリガン(bs,p)

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Gerry Mulligan(1927-1996,baritone sax,piano)。
いよいよマリガン自身がプレイヤーとしてジャズ界のスターになる日がやってきた。それがロサンジェルスに渡って現地ジャズマンと結成したジェリー・マリガン・カルテットで、'Gerry Mulligan Quartet Vol.1'(画像1)には52~53年分、'Vol.2'(画像2)には53年分の録音が収録されている。このジャケットの格好よさといったらない。マリガンはその名の通りアイルランド系だが、容貌も音楽センスもやはりアイルランド系のスティングの先達みたいなところがある。

アメリカ本国ではジャズの本道はビッグバンドで、小編成コンボはクラブ出演がせいぜいの、マニア向けのものと見なされていた。ビ・バップは小編成コンボの特性を生かして徹底的にアドリブを追求したジャズを作り上げた。
一方小~中編成コンボでビッグバンド的なサウンドを生み出そうという試みもあり、チャールズ・ミンガス、ジミー・ジュフリー、ギル・エヴァンス、マリガンらは皆ビッグバンド出身者だった。マイルスの「クールの誕生」を成功させ、次にマリガンが挑んだのはトランペット、バリトンサックス、ベース、ドラムスというピアノレス編成で2本の管楽器が対位法的な同時進行のメロディを奏でる、という実験的なサウンドだった。これは見事に成功し、ポップスとして通用するほどの親しみやすさと完成度を達成した。チェット・ベイカー(トランペット)の貢献も大きい。1、2とも名曲名演だらけだがスタンダードでは'Lullaby of the Leaves'、チェットのオリジナルでは'Freeway'、マリガン曲では'Nights at the Turntable''Walkin' Shoes''Soft Shoes'、そしてこの1曲!なら'Bernie's Tune'で決まりだろう。

マリガンは「クールの誕生」の再現を依頼され、カルテットのメンバーに6人を加えた'Gerry Mulligan and His Tentet'53を録音(画像4。前回の2と同一)、続いて「クールの誕生」でも共演したリー・コニッツ(アルト)を迎えたクインテットで'Konitz Meets Mulligan'53(画像3)を録音。そして53年5月にチェットが脱退する。