人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(43e)デイヴ・ブルーベック(p)

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Dave Brubeck(1920-2012,p)。
ブルーベックと言えば「タイム・アウト!」、「タイム・アウト!」と言えば5拍子のヒット曲『テイク・ファイヴ』'Take Five'と昔から決まっているのだ。アルバム'Time Out!'59.6-8(画像1)は発売前から絶大な自信を持って送り出されたとおぼしい。
59年といえばマイルス「カインド・オブ・ブルー」、ミンガス「ミンガス・アー・ウム」、コルトレーンジャイアント・ステップス」、オーネット「ジャズ来るべきもの」とジャズの分水嶺みたいな年なのだが、「タイム・アウト!」がそれらと並べて語られることはほとんどない。エンタテインメントだからだ。だがこれほど浸透力のあるエンタテインメントはアートを凌駕する。
ちなみに『テイク・ファイヴ』はデスモントのオリジナル。ブルーベックのオリジナルでは'Blue Rondo A La Tark'が元祖プログレというか、EL&Pはここからパクった。『テイク・ファイヴ』は『テイク・テン』という続編もあって、デスモントの同名アルバム(63.6)に収められている。
このアルバムの成功を見越して、59年9月にはメジャーでは初のポール・デスモントのソロ・アルバムが録音される。ブルーベック組の自信のほどが伺える。

次の'Southern Scene'59.9,10(画像2)は前作のリズムの実験から一転してほのぼの路線だが(1曲目は'Oh Susanna'だ)2曲目からはオリジナル曲でやはり空想のアメリカ南部を描いている。ジミー・ジュフリー3の空想的カントリー・フォーク・ジャズの影響もあるかもしれない。曲ごとにデュオ、トリオと変化をつけたのも成功した。

勢いのあるバンドは何でもこなす。'Dave Brubeck with Jimmy Rushing'60.1,2,8(画像3)はカウント・ベイシー楽団専属の、黒人男性ジャズ・ヴォーカルで一番偉い人ジミー・ラッシングを迎えたヴォーカル・アルバム。'My Meloncholy Baby'やファッツ・ウォラーの『浮気はやめた』'Ain't Misbehavin''をやっている楽しいアルバムで、ラッシングのヴォーカルは黒い声だが白人的な洗練があり、カルテットの小粋な演奏とぴったり合っている。