人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(44c)モダン・ジャズ・カルテット

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The Modern Jazz Quartet:John Lewis(1920-2001,ldr,p),Milt Jackson(1923-1999,vibraphone),Percy Heath(1923-2005,bass),Connie Kay(1927-1994,drums)。ジョン・ルイスをリーダーとしたこのバンドの革新性はビ・バップ以降のジャズ感覚でありながらアドリブ中心ではなくアンサンブル主体の音楽性を打ち出したことにある。前2作でもそれはうかがえたが、より挑発的に緊密なアンサンブルで迫ったのがアトランティック移籍第1作の'Fontessa'56.1,2(画像1)だろう。オリジナルとスタンダード半々だが、オリジナル曲に主張はよく現れている。'Versailles'はクラシック曲、'Bluesology'はブルースだが両者の間に分裂はない。ミルト・ジャクソンのブルース・フィーリングとジョン・ルイスのピアノの朴訥とした黒い乗りが見事に一体化している。ブルーベック・カルテットと同期ながら一歩先にスタイルを完成したのも、なによりMJQがブルースを根底にしたグループだったからだろう。

次の'At Music Inn/Guest Artist:Jimmy Giuffre'56.8(画像2)は同レーベルで指向性も近かったジミー・ジュフリーを3曲に迎えたアルバム。ジュフリーがMJQのクラシック性に歩みよった作品として成功した。当時ジュフリーとルイスは白人・黒人を代表するジャズ界最高の頭脳と言われた。ジュフリー参加は'A Fugue For Music Inn'他2曲で、クラシック趣味を楽しんだ様子が伝わる。クラリネットの音色もよく合っている。

だが2年後の続編'At Music Inn/Guest Artist:Sonny Rollins'58.8,9(画像3)では53年の見事な共演はどこへやら、レーベルの塀を乗り越えやってきたロリンズの雑な演奏がMJQの調子まで乱している。ロリンズの共演はアルバムB面の'Bag's Groove','A Night in Tunisia'の2曲で前者はミルトの代表的オリジナル、後者はガレスピーの代表曲でロリンズの十八番のはずだが、失敗作でも一流の貫禄を誇るロリンズの最悪の演奏になっている。これは一体どうしたことか?