人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ロックと「荒地」The Waste Land

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イギリスの大物ロックバンド、ザ・フーは65年にデビューしメンバー4人中2人が他界した現在でも活動中だが、ビートルズストーンズの次に来て、レッド・ツェッペリンとタメを張るくらい偉い。そのザ・フーの70年代最初のアルバムで「レッド・ツェッペリン4」71.11(画像3)と肩を並べるのが、
The Who'Who's Next'71.7(画像1)

-になる。ツェッペリンは例の『天国への階段』'Stairway To Heaven'収録で、ザ・フーのアルバムの『無法の世界』'Won't Get Fooled Again'に相当する。もっともこれはどちらもストーンズの、
The Rolling Stones'Let It Bleed'69.12
-に収録の『無情の世界』'You Can't Always Get What You Want'に由来する、荒廃と救済をテーマにした曲。このアルバムは前作「ベガーズ・バンケット」'Beggers Banquet'68.12(画像2)の続編で、完成度では「ブリード」、インパクトでは「バンケット」かもしれない。これらはいずれも7分半~8分半の大作曲で、アルバム全編のテーマを集約する。ミュージカルの大団円みたいなものだ。

この「フーズ・ネクスト」冒頭の曲'Baba O'Riley'は現代音楽作曲家テリー・ライリーの'Raimbow ln Curved Air'68のリフをそのまま下敷きにしてバンド演奏を重ねた作品だが、締めくくりの歌詞に「荒地」が出てくるのだ。

Teenage waste land
It's only waste land
…They all waste!

エリオットを元ネタにしたロック曲ではイタリアのオザンナの凄まじいヘヴィー・プログレ・アルバム「ミラノ・カリブロ9」'Milano Calibro 9'72のラスト曲'Canzona'が長編詩「聖灰水曜日」'Ash-Wednesday'1930をそのまま歌詞にしている。ザ・ドアーズの第1作(67年)収録の'Take It As It Comes'は旧約聖書の「伝道の書」だが、共に無記名なので日本盤解説には一言もない。こういう例は他にも多いだろう。
それにしても掲載のジャケット、共通した雰囲気を感じないではいられない。