人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(48b)レッド・ガーランド(p)

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Red Garland(1923-1984,piano)。
前回解説できなかった2作にさっと触れる。「ミュージングス~」はガーランドの公式な初録音で、ベースはオスカー・ぺティフォードだかドラムスはフィリー・ジョー・ジョーンズが起用されていた。マイルス唯一の、サックス奏者を入れないワンホーン作品としても珍しい。'A Gal In Calico'が愛らしい。
「ニュー・クインテット」はマイルスが初めて本格的なレギュラー・バンドを組んだことで話題を呼んだ。「ミュージングス~」のタイトルもアーティスト名もないジャケットの通り、20代末で10年のヴェテランであるマイルスはすでにジャズ界の顏だった。当初は「下手なテナー(ジョン・コルトレーン)、飲み屋のピアニスト(ガーランド)、十代のベーシスト(ポール・チェンバース)、うるさいドラムス(フィリー・ジョー)」と言われたこのバンドだが、ライヴ活動を始めてアルバムが発表されるといきなりジャズ界の頂点に立った。このアルバムではベニー・ゴルソン作の'Stablemates'が実にかっこいい。

同時にマイルスはレコード業界最大手のコロンビアに移籍が決っていたが、古巣の弱小インディーズのプレスティッジの契約消化のために2回だけスタジオ入りして計6時間でアルバム4枚を録音してしまう。それがいわゆるマラソン・セッションで、
Miles Davis'Relaxin''56.5.11,10.2(画像1)
-'Workin''-(画像2)
-'Steamin''-(画像3)

-ともう1作'Cookin''があるのだが、これは10月2日録音曲ばかりなので5月~9月録音のアルバムを紹介してからになる。
この四部作は発売と同時に古典的名作とされ、60年あまりの間その評価は揺らいでいない。のちにマイルスやコルトレーンの音楽は大胆に変貌するが、この音楽は完成を極めていた。
「リラクシン」では'Surrey With The Fringe On Top',「ワーキン」では'It Never Entered My Mind',「スティーミン」では'If I Were Bell'をあげておく。この時ガーランドはバンドに不可欠な才能だった。