人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(48d)レッド・ガーランド(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Red Garland(1923-1984,piano)。
マイルスの57年5月11日/10月2日録音の四部作はどれもいいが、好みは選曲次第かもしれない。演奏のテンションは半年の間に長足の成長をとげたコルトレーンの貢献で、10月録音曲の比重が高いアルバムに分がある。「ワーキン」にはガーランド・トリオだけの'Armad's Blues'もある。

Miles Davis'Cookin''56.10.2(画像1)
-は10月録音で固めた全4曲(うち1曲メドレー)で、A面に'My Funny Valentine','Blues By Five',B面に'Airgin','Tune Up/When Lights Are Low'と決定的名演が並ぶ。ガーランドはバラードでもミドル~アップ・テンポでも緊張感と余裕を保った自在なバック・アップで演奏を盛り上げる。

この録音によってようやくプレスティッジとの契約を満了したマイルスは、先に完成しておいた大手コロンビア移籍第1作、
Miles Davis'Round About Midnight'55.10.27/56.9.10(画像2)
-を57年3月、満を持して発表する。プレスティッジとは比較にならない丁寧な制作のアルバムで、バンドのスケールはさらに拡大された。セロニアス・モンク作のタイトル曲、スタン・ゲッツのレパートリーのスウェーデン民謡'Dear Old Stockholm'が白眉だろう。どちらも原曲にないブリッジをギル・エヴァンスのアドヴァイスで加え、鮮烈な印象を残す。

56年度最後の録音は、
Jackie McLean'McLean's Scene'56.12.14(画像3)
-で、マクリーン(アルトサックス)、ビル・ハードマン(トランペット)にガーランド・トリオで4曲。マクリーンとはこれが唯一。アルバムの残り4曲はマル・ウォルドロン(ピアノ)・トリオにマクリーンのワンホーンで、マクリーンはマイルスとミンガスとジャズ・メッセンジャーズ全部に在籍してきた珍しい人だが、ミンガス・バンドの同僚で家族ぐるみの親友のマルとのセッションの出来がいいのでガーランドは割りを食った。マクリーンはワンホーンが真価の人でもある。ガーランド目当てでも、アルバムとしては聴いて損はない。