人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補3k)セロニアス・モンク(p)

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Thelonious Monk(1917-1982,piano)。
すでに指摘したがコロンビア移籍後のモンクはアルバム制作のパターン化が目立つ。だいたい2作ごとを単位にしているようで、珍しいオリジナル曲中心のスタジオ録音「イッツ・モンクス・タイム」の次は、珍しいスタンダード中心の、
Monk(画像1)64.2.9-10&7.8
-になった。LPでは7曲、CDではカット部分を復元し3曲追加の全70分収録。先にパターン化に言及したがそれなりに工夫はあるのでこのアルバムも悪くない。それにしてもモンクは風貌といい名前(「僧侶」という本名はざらにない)といいインパクトが強い。帽子とヒゲなら次元大介だが、モンクには負ける。

カルテットによるスタンダード集の次は、ソロ・ピアノによるスタンダード集、
Solo Monk(画像2)64.10.31&11.2/65.2.23&3.9
-が制作される。LPでは12曲、CDは8曲追加からもわかる通り曲が短い。このアルバムではモンクはいわゆるストライド・ピアノと呼ばれる技法(左手で和音、右手でメロディ)に徹しており、曲も古い年代から選曲している。ストライド・ピアノはモンクやバド、トリスターノらが革新するまではジャズ・ピアノの主流だった。この原点回帰アルバムが当初はビートルズ作品集の予定だったという笑えない裏話がある。ジャズは急激に時代遅れの音楽とされつつあった。

続くカルテットのスタジオ録音盤2作、
Straight No Chaser(画像3)66.11.14-15/67.1.10
-と'Underground'(次回掲載)はモンク最後の力作と言える。「ストレート~」はLPでは再演オリジナルと初演スタンダードが3曲ずつで、CDではカット部分を復元し3曲追加して76分の収録になった。バンド演奏だから曲は長くタイトル曲は11分28秒、'Japanese Falk Song'は16分43秒(LPではサックス・ソロ5分40秒カット)におよぶ。後者が実はこのアルバムの目玉曲で、実態は『荒城の月』なのだ(同時期にリー・モーガンも『月の砂漠』をやっていた)。
これがスコーピオンズの来日ライヴ盤に匹敵する爆裂カヴァーで、この曲の問題の箇所の比較にもなる。字数がないので次回にまわすが、両者ははっきりと対照的な解釈と言える。