人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補8d)セシル・テイラー(p)

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Cecil Taylor(1929-,piano)。
次の、
Cell Walk For Celeste(画像1)61.1.9&10
-も「エア」同様CD時代になってからまとめられた拾遺アルバムで、キャンディド録音のうち「ジャンピン~」と同じく「ニューヨーク~」セッションの未収録曲・別テイクからなる。未発表曲はテイラーとネイドリンガーのデュオの'Davis'とシェップ入りカルテットの'Section C'で、後は別テイクが2テイクずつの寄せ集めだが、アルバムの構成や選曲もよく聴き応えがある。先行作品よりも焦点の定まったアルバムになっている。

次の録音は、
The Gil Evans Orchestra:Into The Hot(画像2)61.10.10
-への参加だった。これは奇妙なアルバムで、ギル・エヴァンス・オーケストラ(ジョン・キャリシ編曲)の3曲とテイラー・ユニット3曲を交互に並べ、テイラーの演奏にはエヴァンスは関与していない。テイラーは4管セプテットでこれまででもっとも複雑なアレンジを成功させており、ついにレギュラー・メンバーの交代によりジミー・ライオンズ(アルトサックス)とサニー・マレー(ドラムス)が顔を会わせた。ベースはヘンリー・グライムズだった。

翌年ライオンズ、グライムズ、マレーとの新生ユニットでテイラーはヨーロッパ巡業に出発するが、グライムズはロリンズとの契約で途中で退団してしまう。テイラーはベースなしのトリオを決行することにする。これが偶然とはいえまったく新しいバンド・アンサンブルを生み出すことになった。
2004年に発売されたアルバート・アイラーの10枚組発掘ライヴ・ボックス、
Albert Ayler:Holy Ghost(画像3)59.7-70.7
-は決定版というべき驚愕の発掘録音集だが、当時ヨーロッパ放浪中のアイラーがテイラー・トリオと客演したコペンハーゲンのラジオ番組用ライヴが収められ(62年11月16日)、1曲22分の完全即興曲とはいえ価値は高い。タイトルも'Four'と適当なのもいい。解説にはテイラーの回想録も載っており、アイラーがデンマークのジャズ界ではいじめにあっていたという証言もある。セシル自身がアイラーの実力には半信半疑でライオンズに意見を求めたというのも面白い。