人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9f)ハービー・ハンコック(p)

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Herbie Hancock(1941-,piano)。
ウェイン・ショーターがテナーの座について、いよいよマイルスの伝説的60年代クインテットの陣容がそろう。ハンコック、ロン・カーター(ベース)、トニー・ウィリアムズ(ドラムス)はもちろん留任する。第1弾はヨーロッパ・ツアーからのライヴ盤で、
Miles Davis:Miles In Berlin(画像1)64.9.25
-で、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「'フォア'&モア」からたった半年でテナーの交代があっただけなのにこんなに変ってしまうのか、というくらい違う。ショーターは大物の割にかなり好き嫌いを分けるテナーだが、もっとマイルス・クインテットに溶け込む以降の作品よりもこちらのほうがショーターらしさが出ているかもしれない。ハンコックらもコールマンがテナーの時より自由度の高い演奏なのがわかる。

ショーターのブルーノートからの第3リーダー作、
Wayne Shorter:Speak No Evil(画像2)64.12.24
-は曲良し(全曲自作)、メンバー良し(トランペットはハバード、ベースはカーター、ドラムスはエルヴィン・ジョーンズ)、演奏良しの文句なしの大傑作で、前作までのマッコイ・タイナーもエルヴィン同様コルトレーン・カルテットのメンバーだから悪かろうはずはないが、このアルバムではハンコック以外適任はいない。そのくらいはまっている。タイトル曲,'Witch Hunt','Infant Eyes'が代表曲だが、全曲いい。

マイルスの新クインテットの最初のスタジオ盤は、
E.S.P.(画像3)65.1.20-22
-になった。ショーターのアルバム同様、夫人をジャケットに出すのだけは趣味が悪い。全7曲中マイルスとカーターの共作1曲、後は単独曲でマイルスとハンコックが1曲ずつ、ショーターとカーターが2曲ずつの全曲新作オリジナルは、マイルスにとって「カインド・オブ・ブルー」以来になった。タイトルはいかにもショーターらしい、他の誰にも書けないマジカルでスリリングな名曲。マイルスとカーター共作の'Eighty-One'はマイルス初のエイト・ビート作品。
この意欲作は当時不評だった。フリー・ジャズへの回答としても煮え切らず、音楽が冷たい。だがマイルスは断固としてこの路線を進む。