人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9g)ハービー・ハンコック(p)

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Herbie Hancock(1941-,piano)。
ついにハンコックは一世一代の傑作を作りあげる。ドルフィーの「アウト・トゥ・ランチ」や、ショーターの「スピーク・ノー・イーヴル」とともにブルーノート新主流派の頂点をなすアルバムで、発売以来50年その評価は揺らぎない。
Maiden Voyage(画像1)65.3.14
-がそれで、全5曲中1曲はマイルスへの提供曲の再演'Little One'。メンバーはコールマン、ロン、トニーのマイルス仲間に常連フレディ・ハバード。タイトル曲『処女航海』は男性用化粧品のCM用に依頼されたものだったという。そこから海洋をテーマにした'The Eyes Of The Hurricane','Survival Of The Fittest','Dolphin Dance'らの名曲が生れた。ショーターやトニーのアルバムの成功でさらに音楽的なハードルも上げたのだろう。清新で完成された作品になった。
ちなみに前記三作でトニーとカーターとハンコックは二作に参加、三作とも参加しているのはハバードになる。

Sam Rivers:Contours(画像2)65.5.21
-は、ボストン出身のこのヴェテラン・マルチ奏者がハバード、カーター、ハンコック、ジョー・チェンバース(ドラムス)と若手でメンバーを固めて思う存分最先端のジャズをやってのけたアルバム。全曲オリジナルで、ソロの応酬がスリリングな'Dance Of The Tripedal,甘美な'Eutapie'が白眉か。若手サイドマンたちにリヴァースをしのぐ勢いがあるのも面白い。ハバードやハンコック、チェンバース名義でも信じてしまうくらいなのだ。

印象的なジャケットが多いブルーノート社のアルバムでも一際目立つのが、
Tony Williams:Spring(画像3)65.8.12
-で、前作の7人編成からベースは通常の1人にし、ショーターとリヴァースの2テナーによるクインテット作品にした。全曲オリジナル。前作は多人数のせいで偶然アヴァンギャルドに踏み込んだ感もあり、ドラマーのリーダー作だから当然だがソロ・ドラムの占める割合も高かった。トニーのアルバムだからマイナス点にはならないが、毎回これではつらい。今回はバランスのとれた名作で、'Love Song'が人気の高い名曲。