人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9h)ハービー・ハンコック(p)

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Herbie Hancock(1941-,piano)。
ハンコックはブルーノート社専属時代(61年4月~69年4月)の満8年間にリーダー作7枚、サイドマン参加作が35枚ある。63年5月からはマイルス・クインテットのメンバーにもなり70年4月までに15枚に参加していると思うと、ジャズ不況が始まった60年代にデビューした新人としては質量ともに抜きん出た人だったことがわかる。仕事の口の多いリズム・セクションで、しかも芸風もとびきり広い。その上温厚で知的、と人柄や素行まで優等生だったのだ。

ハンコックは新主流派のみならずハンク・モブレージャッキー・マクリーンらバップ系ジャズマンのアルバムにも起用された。
Lee Morgan:Cornbread(画像1)65.9.20
-はエイト・ビートの'The Sidewinder'を大ヒットさせたモーガン(トランペット)のジャズ・ロック路線で、ハンコックも自分のリーダー作ではエイト・ビートをやってきたからお手の物。賑やかなタイトル曲、メロウな'Ceora'などモーガンの作曲も冴えている。メンバーもマクリーンとモブレー参加の徳用盤。

マイルスは「E.S.P.」発表後健康を損ねて休んでいた。活動再開はシカゴ遠征で、一週間の公演から編まれたのが、
At Plugged Nickel,Chicago Vol.1,Vol.2(画像2)65.12.22&23
-で、日本独占発売で76年に発表された。22日からは'Stella By Starlight'だけで、後は23日の収録。90年代に一週間全曲のボックス・セットが出た。内容は完全にフリー・ジャズ集団と化したバンドにマイルス怒りの鉄槌、というもので、ショーターもハンコックも自分のアルバム以上に暴走しており(トニーはいつも暴走)、ここまでやるからにはマイルスの指示があった、と見るのが妥当だろう。喰えない人なのだ。

Bobby Hutcherson:Happenings(画像3)66.2.8
-は3枚あるハッチャーソンとハンコックの共演作でも一番人気の作品。編成はピアノ・トリオ+ヴィブラフォンというMJQ編成だがMJQとはまるで違う感覚。全7曲中ハッチャーソン6曲にハンコックの'Maiden Voyage'の再演だが、皮肉にもそれがアルバム中の白眉になってしまった。