Larry Young(1940-1978,organ)。
グリーン、エルヴィン、ヤングのトリオは相性がいいとブルーノート社も考えたらしく、グラント・グリーンのリーダー作としてこのトリオ+ゲスト、というカルテットでさらに2作を制作する。それが、
Grant Green:Street Of Dreams(画像1)64.11.16
-:I Want To Hold Your Hand(画像2)65.3.31
-で、グリーンは65年5月の'Matador'から69年のブルーノート復帰まではほとんど参加アルバムがないから、これらは一時的な引退直前の作品になる。
先の「ストリート・オブ・ドリームス」はヴィブラフォンのボビー・ハッチャーソンを加え、オルガン・トリオ+ヴィブラフォンとなさそうでない編成。アルバム全体の幻想的なムードはハッチャーソンのカラーを感じさせる。スタンダード曲集なのだが不思議な作品で、放心したような瞑想的な静けさはビーチ・ボーイズの「フレンズ」以外類例を思いつかない。
後者「抱きしめたい」はタイトル通り1曲目がビートルズ、LPではB目トップの4曲目はジョビンの'Corcovado'で、さらに5曲目がポップス曲で、後の3曲はスタンダードという危険信号点滅の選曲。編成はハンク・モブレーのテナーサックスにオルガン・トリオ。ところがこれがなかなかいい。ビートルズの曲は楽曲と編曲が一体なのでジャズには不向きなのだが、ヤングのアイディアか、なんと『抱きしめたい』をボサノヴァにしてしまった。このアルバムではヤングはジミー・スミスどころか、ワルター・ワンダレイに近い音色で弾いている。これもグリーン+ヤングの快作だろう。
ブルーノート社を離れたグリーンは大手ヴァーヴにスカウトされ、
Grant Green:His Majesty King Funk(画像3)65.5.26
-をヤングを誘って録音する。ドラムスはベン・ディクソン、パーカッションはキャンディド、テナーはハロルド・ヴィック。ディクソン作'The Cantaloupe Woman'はハンコックの『カンタロープ・アイランド』かと思いきやリー・モーガン『ザ・サイドワインダー』が元ネタ。アルバムは、グリーン+ヤング唯一のソウル・ジャズ作品。これが二人にとって最後の共演作品になった。