人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

続・離婚のいきさつ(6)

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次女が入院したのは日曜日で、退院はちょうど満一週間目の土曜日だった。その日は、保育園の運動会と重なった。長女と妻は運動会に行き、ぼくは病院に次女を迎えに行った。
次女の入院していた総合病院は交通の便は悪くなかったが、バスや電車の組み合わせが複雑かつまちまちなので時間的制約があるときびしかった。それでもなんとか一週間を切りぬけたのは(一日だけ同級生のヤスミチくんのお母さんが長女を夕食に招待してくれた。お母さんのジェーンさんはぼくの妻が大好きだった)…意地みたいなものだ。

次女はまだ二歳で、会話でどれだけ意志疎通ができたかわからないが、朝からぼくが来たのでもう家に帰れるのだと勘づいたらしい。嬉しそうな次女の様子にぼくも嬉しかった。
長女の時からぼくは言葉がしゃべれない乳児の頃から話しかけながら育ててきたので、長女の言語能力の発達は早かった。たぶん長女が父親と活発に話していたので、次女はじっと会話に耳を傾けて自分からはあまりしゃべらない子になった(ときおりしゃべりだすと会話の流れからは外れた唐突なもので、ぼくには次女が会話からなにを感じたかわかったが、長女は「アヤちゃんはなにを言ってるのかわからないよ」と苦笑していた。「パパにはわかるよ」と言っても次女は憮然としていた)。

次女に話しかけながら荷物をまとめて、次女を抱っこ紐で前抱っこして退院手続きを済ませた。やや手数がかかったが、ベビーカーより前抱っこが好きな次女はご機嫌だった。昼間の時間帯だと民間バス・コースより市営バス~電車乗り継ぎコースのほうが早いのでとにかくバスで最寄り駅の駅前広場に出て、少し休憩した。次女も広場でトコトコ歩いて嬉しそうだった。
駅前の古本屋で「ガルシン全集・全一巻」「ハート・クレイン『橋』研究」「名句入門(永田耕衣)」の三冊を買った。

一旦帰宅して予定通り運動会のお昼休みの少し前に間にあった。次女の分も朝のうちに作って、妻に託してあったのだ。乳児クラスの競技は午前中のうちに終っていた。父兄参加競技も午後にはない。
昼休みが終り、最小限の仕度だけ残して長女と次女を妻に託し、荷物を持って先にひとりで帰宅した。暗い音楽を流し、安らかな気分で買ってきた本を拾い読みしながらワインをしみじみ味わった。これはひと休みだ。どこまで持ちこたえるだろうか。