人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補11d)ラリー・ヤング(org)

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Larry Young(1940-1978,organ)。
コンビを組んでいた五歳上のグラント・グリーン(ギター)がブルーノート社との契約を失ったのはグリーンの私生活上の問題があったらしいが、引き続きエルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)と組んだブルーノートでの第2リーダー作、
Unity(画像1)65.11.10
-はヤング生涯の大傑作になった。フロントに新鋭ウディ・ショウ(トランペット)とジョー・ヘンダーソン(テナーサックス)を迎えたカルテットで、今回はヤングの自作曲はないがショウ3曲、ヘンダーソン1曲、スタンダード『朝日のようにさわやかに』、オルガンとドラムスでデュオ演奏されるモンクの'Monk's Dream'と、全曲秀逸。ヘンダーソンの変型ブルース'If'はブルースと気づかない人もいるだろう。ショウの'The Moontrane'は60年代ジャズ屈指のオリジナル・スタンダードになった。すべてがうまくいっている。ヤングは25歳で最高傑作を作り上げた。

次の、
Of Love And Peace(画像2)66.7.28
-は3管2ドラムスのセクステットで、メンバーも全員中堅以下の新人ばかりになる。全4曲中タイトル曲と'Falag'がヤング作で、モートン・グールドの'Pavane'とマイルスの'Seven Steps To Heaven'を意表を突いたアレンジでやっている。特に後者、ホーンが全員バラバラなアクセントでテーマを合奏するのだが、普通は思いつかないし思いついてもやらない。前作には譲るがこれも充実したアルバムで、聴き応えがある。

ブルーノート第4作、
Contrasts(画像3)67.9.18
-は前作には似ているが、「ユニティ」からはずいぶん変った印象が強い。だが前作には「ユニティ」からの連続性もあったから自然な変化なのだろう。今回は3管1ドラムス、ギター、コンガ入りセプテットで、全6曲ヤング自作、1曲アルセア夫人のヴォーカル入り。前作で萌芽があったサイケデリック・ロック(ファンクとは後にソウルとサイケデリックが結合したもの)との近似性がさらに強くなっている。「ユニティ」はあくまでもジャズの名盤だった。また、グリーンがレーベルを去ってからはヤングはサイドマン起用はなく、リーダー作も年一作きり。この処遇もアーティストには微妙だろう。