人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補11f)ラリー・ヤング(org)

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Larry Young(1940-1978,organ)。
前回掲載の「エマージェンシー!」は、ギターにジョン・マクラフリン、オルガンにヤングを迎えてジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスに挑戦した、LP2枚組の大作だった。トニーはマクラフリンとはマイルスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」で共演歴があり、マイルス時代にはソロ契約はブルーノートで、ジミ・ヘンドリックス最初で最後のジャズ・セッションに呼ばれたヤングは理想的なオルガン奏者だっただろう。イギリスには同編成のソフト・マシーン、ザ・ナイスがいたが、ジャズ側からの前衛的ジャズ・ロックの回答はライフタイムが初めてだった。冒頭のタイトル曲のインパクトは比類ない。全編が狂暴きわまりなく、マクラフリンのひきつるギターは当時ジミに対向し得る唯一のサウンドだった。ヤングもこのコンセプトでは水を得た魚のように暴れている。唯一の汚点は衆目一致でトニーのヘナヘナなヴォーカルになる。

そしてついにヤングは、
Miles Davis:Bitches Brew(画像1)69.8.27
-に参加する。2枚組LPの2曲とはいえA面全部の'Pharaoh's Dance'20分、C面のハイライト曲'Spanish Key'17分半への参加だから貢献度は高い。当時の正式メンバーはチック・コリアなので録音のみの起用だが、マイルスとの共演はジャズでは最高の栄誉だった。

ライフタイムの2作目、
Turn It Over(画像2)70.1.17
-はトリオに元クリームのジャック・ブルース(ベース、ヴォーカル)を加えサウンドの増強を図ったが、ブルースの存在はかえって音楽を混沌とさせてしまった。ライフタイムは次作、
Ego(画像4)71
-ではマクラフリンが脱退し、パワーの落ちたサイケデリック・ロックになって解散する(後に再結成)。

バンドのパワーは脱退したマクラフリンの、
John McLaughlin:Devotion(画像3)70.9
-に受け継がれた。全6曲マクラフリン自作で、ほとんどマイルスとマクラフリンの共作だった「ジャック・ジョンソン」70.2&4の姉妹作。ベースはビリー・リッチ、ドラムスはバディ・マイルスとジミ(70年9月18日急逝)ゆかりの人選。ヤング参加作でももっともロック色の強い成功作だろう。