Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。
いよいよティナ・ブルックスの名を歴史に刻んだセッションが到来した。4枚あるブルックスのリーダー作で、生前に発売されたのはこれしかない。
True Blue(画像1)60.6.25
-メンバーがいい。ハバードのトランペットは共演済みだが、デューク・ジョーダン(ピアノ)、ベースとドラムスにサム・ジョーンズとアート・テイラーと、60年には明らかに盛りを過ぎた10年選手が起用されている。普通ならこれはマイナス要因だろう。が、ブルックス自身が旧いスタイルでこそ長所の引き立つ人だった。
全6曲中自作5曲、思わず引き込まれるような魅力的なオリジナルが並ぶ。新しさを演出するのは唯一の若手であるハバードだ。
にも拘らず当時このアルバムは少なくとも3年は古びて見えただろう。ハバード参加作では60年12月にオーネット・コールマンの「フリー・ジャズ」、同作で共演したエリック・ドルフィの「惑星」が61年4月。それらに較べると、ここには新しさは何もなかった。
運命的にか、次にブルックスは、
Freddie Redd:Shades Of Redd(画像2)60.8.13
-に参加する。レッドとブルックスは楽器こそ違え同じタイプのジャズマンだった-時代遅れの渋いハードバップ・スタイル、優れた作曲。ブルックスに'Good Old Soul'があれば、レッドには'Therapin'がある。このアルバムでは、アルトサックスのジャッキー・マクリーンとの相性もいい。マクリーンも旧いタイプのジャズマンだが、プレイには華があった。
Jackie McLean:Jackie's Bag(画像3)60.9.1
-は少々複雑な成り立ちのアルバムで、ブルーノート移籍第1弾としてA面3曲が録音されたが(59年1月、ブルックス不参加)、後から録音された3枚が発売された後でブルックス含む'Street Singer'セッション全6曲が録音され、'Bag'B面に3曲が収められた。'~Singer'全曲は現在では'~Bag'追加曲か、単独CD(画像4)で聴ける。
このB面3曲が素晴らしい。'~Singer'全6曲は3曲ずつマクリーンとブルックスのオリジナルだが、全編に及ぶ切迫感はマクリーンならではで、この先取性が両者を分けた。